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古典を読むことは古典と踊ること

「古典には人間の営みが丸ごと描かれている。だからこそ卑俗でもあったりショッキングでもあったり、ほとんど難解なまでにシンプルだったりもする。でも、人はいつの時代にあっても、その時代の持つ複雑さと同じだけの複雑さを持っているものだ。だからこそ古典は、単純すぎるものでもあるし、時代というリズムを感じさせたりもする。
古典を読むということは、多分、古典と踊ることで、だからこそリズムを分かることが必要なんだ。そのリズムを捕まえてしまえば、単純であろうと難解であろうと、そんなことはもう関係がない。人生とはただ生きるものでしかない以上、どんな質を持っていたって、ただ生きていられさえすればそれでいいのだから。
千何百年にもわたる時間の中で生み出された膨大な言葉のリズムを捕まえることによって、僕達はもう一度、僕達の言葉を作り出すことが出来るのだ。“僕達”という共有を含んだ、固有の言葉を。」

橋本治『江戸にフランス革命を!』

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