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入院生活について。

(第十一回。)

さあ、毎日毎日、個人的に性被害に関連するテーマを決めて記事を書いてきましたが、それぞれほんのはしりのところです。でもそれももうすぐひととおり終わります。あと残っているテーマは、入院生活、と、友人関係、です。
今日は、入院生活からいきます。
精神科病棟というと、あなたはどんな場所をイメージするでしょうか。

私はこれまで、精神科病棟への入院期間が全部合わせると2年弱くらいあります。その中で、いちばん最後に入院した病棟のことを書きます(最初の頃ほど調子が悪かったので、どんな気分だったか思い出すのが難しいです)。入院は主治医の先生からの勧めがあったからですが、とにかく休みたかった、というへろへろの状況で入院していたので、休めるだけでもありがたかったです。がしかし、今は何も考えなくていいんだ、と思って、とにかく眠れるだけ眠ろうとしても、精神科病棟にはたいてい、デイケアと呼ばれる昼間のプログラムがあります。そう、丸一日眠っていたいという希望は、精神科病棟ではよっぽど具合の悪い人にしか許されません。当たり前と言えば当たり前なんですが、生活のリズムをきちんと整えて、夜ちゃんと眠って、昼間ちゃんと起きている、という生活をさせるのが精神科病棟の目的のひとつだからです。
ですので、よっぽどきつい時期(急性期)の患者さん以外は、かなり時間を持て余すことになります。今ならスマホを持ち込むこともできるでしょうが、私が入院していた頃はガラケーでした。(私はガラケーも持っていませんでしたが…。)
そこで、患者さんはみんな様々な方法で時間をつぶすことを考えるようになります。ただ一日ぼうっとテレビを観たりする人は、まだ自分の頭でモノを考えることができない人です。ちょっと調子が良くなってくると、新聞を読んだり、将棋やオセロや卓球をしたり。もっと良くなると、外の図書館に行って本やCDを借りてきたり、カラオケに行くような人も出てきます。やっぱりそういうのは若い人に多かったですね。デイケアだけでは退屈で、時間がつぶせないのです。
私が、いいなあと思ったのは、煙草を吸う人たちです。喫煙場所は、病棟内のロビーの一角や中庭に面したベンチの近くにあることが多かったです。別に煙草を吸えるのが羨ましかったわけじゃありません。なんとなくぼうっとみんなで煙草を吸って内容のない(ように見えた)お喋りをしている人たちを見ていると、とてもみんな一体感があるように見えたのです。ただ煙草を吸っているだけで!
私は当時は煙草は全然吸えませんでした。退院後、吸っていた時期もありましたが、あまりにお金の無駄だと思い、iPhoneが欲しくてしょうがなかったこともあり、煙草をやめてiPhone代に回しました。煙草をやめた時は、なんだかすごく自由になった気がして嬉しかったのを憶えています。

話を戻します。

精神科病棟というのは私にとっては、煙草を吸っているだけの人たちを羨ましく思ってしまうような場所でした。
もちろん、外来の時と比べて主治医の先生と少し頻繁に会えるのは嬉しかったです。そして、少し調子が良くなってきたら、ここを出たらアレをしようコレをしようということばかり考えていた…、かというとそうでもないんです。入院生活にも飽き飽きしていましたが、だからと言って退院してやりたいことがまだなかった時期だったと思います。
いちばん最近の入院と言っても10年以上は余裕で前になりますから、記憶も曖昧になっているだろうとは思っていましたが、ここまでとは…、ちょっとビックリしました。
しかし、やっぱり相当調子も悪かったのです。だから入院していたんですよね。今気づいても何にもなりませんが。でも、ということは、あの過酷な入院生活も何かの役には立ってくれていたのです。

そう、少なくとも、私は死なずには済みました。



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