見出し画像

v_4 初のマラリアワクチン!

このエントリは、Voicyチャンネル 自分の人生を生きよう!by CK にて2021年10月11日に配信された「#0004 初のマラリアワクチン!」を文章化しています。音声も是非、こちらのリンクからチェックしてみてください♪

今日は、先週のとあるビッグニュース!についてお話したいと思います。(これをビッグニュースと感じる方は日本では少数かもしれません)初のマラリアワクチンを世界保健機関(WHO)が子どもに使っていいですよ、子どもへの使用を推奨しました、というニュースがありました!
記事を読み上げます。10月7日、AFP通信ですね。

世界保健機関(WHO)は6日、世界初のマラリアワクチン「RTS,S」について、子供に対する使用を推奨すると発表した。マラリアは蚊が媒介する感染症で、アフリカの子供を中心に年間40万人以上の死者を出している。同ワクチンは、イギリス製薬大手グラクソ・スミスクラインが1987年に開発。2019年以降からガーナ、ケニア、マラウイのアフリカ3カ国で始まった試験で行われた200万回以上の接種の結果を受け、WHOは今回の決定に至った。

2021年10月7日AFP通信

なんとマラリアは、この現代においても世界で年間40万人もの死者を出しているという、すごーく怖い病気なんです。そのうちのほとんどがサブサハラ以南、いわゆるブラックアフリカと呼ばれるところ(モロッコなど北に位置する国々を除いたアフリカ)。亡くなっている方のほとんどはアフリカ地域で、そして子どもがとても多い
日本ではもうだいぶ前に撲滅されているので、まったく身近ではないですよね。そもそもマラリアってなんだっけ・・・?ここで厚労省の検疫所のホームページから読み上げます。

マラリア原虫をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されることで感染する病気です。
世界中の熱帯・亜熱帯地域で流行しており、2018年11月に公表された統計によると、1年間に約2億2000万人が感染し、推計43万5,000人が死亡しています。日本でも60人前後が輸入感染症として届け出られています。
1週間から4週間ほどの潜伏期間をおいて、発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などの症状が出ます。
マラリアには5種類(熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリア、サルマラリアPlasmodium knowlesi)があります。その中でも、熱帯熱マラリアは発症から24時間以内に治療しないと重症化し、しばしば死に至ります。脳症、腎症、肺水腫、出血傾向、重症貧血など、さまざまな合併症がみられます。

https://www.forth.go.jp/useful/malaria.html

ルワンダにもマラリアはあります。(ルワンダもサブサハラ)
では生活をする上で、マラリアがあるとどんな影響があるのか?というのを、実体験からお伝えしてみます。著作の『ルワンダでタイ料理屋をひらく』の第5章では「2020年春」と題して、ルワンダに新型コロナが来てからの生活の変化や、アジアンキッチンの愉快な仲間たちがどんな生活を余儀なくされたかなど、いろいろ書いています。そこに”新型コロナVSマラリア”という見出しを作っていまして、そこにも詳しく書きましたが、大前提として蚊にものすごく神経を使います

一番の対策は蚊帳。蚊帳なんて、日本だと『トトロ』でサツキとメイが蚊帳の中で寝るといったシーンがありますね。みなさんは蚊帳を見たこと、ありますか?天井から吊るしてベッドを覆うものですが、そうやって寝ている間に刺されないようにします。

寝相が悪いと、蜘蛛の巣にかかったサナギのようになります

それと、スプレー。製薬会社さんが出している”蚊がいなくなるスプレー”など、空間に向けてシュッてすると、ふと床を見たら本当に蚊が死んでいるようなスプレーがありますが、こちらは必須です。アフリカに行かれる方はぜひお持ちいただきたい。毎日使います。肌につけるタイプのスプレーも、日々シュシュっと使います。日本だと夏だけですが、こちらでは年中必要です。
ブーンという羽音がしたら、もう反射的に、すぐ起きちゃいます。蚊帳の中に蚊がいるパターンというのがあって、これが一番厄介!その蚊を殺すまで寝られません。
蚊を見つけると、即座にパーン!と殺しますが、そのときに血がにじんだりすると、「ああ、すでに刺されている・・・!ガーン・・・!」となります。日本だと、刺されたらかゆいし、気持ちいいものではないけれど、でも言うてかゆいぐらい。「かゆみ止めを東京の薬局中探し回ったけど、あと3ヶ月間入ってこないらしい」なんて、絶対にないですよね。でも、ルワンダではマラリアのリスクがあるので、蚊には刺されないように本当に日々気を付けてます。

テントタイプだと、寝相が悪くても安心!

もしかかっても、手当すれば、この現代社会においては助かります。でも、それができない方が大勢いるので年間40万人もの尊い命が失われてしまう。。
一番最初に気付くのがまず熱。なのでルワンダで生活していると、発熱したら基本的にはすぐ血液検査です。ちょっと発熱して一日で下がって、そのままならばたいてい大丈夫。でも発熱2日目になると、これは一応検査しとくか・・・となります。

大人はそうそう発熱しませんが、小さい子ども、特に1歳や2歳の子どもは発熱しますよね。しょっちゅう。私の娘もしょっちゅう高熱を出します。「いや〜、でもマラリアじゃないと思うけどな〜」と思いつつも病院に連れて行くと、もう有無を言わさずに即、血液検査。幼児の血管はとっても細く、血を採るのも大変で、看護師さんの技術も日本に比べると劣るところがあるので、3人がかりで押さえつけられて血を採られる娘を見ると、本当にかわいそう。。それでもやはり万が一のことを考えて、どうしてもマラリア検査はしないといけません。
私も何度かマラリアの血液検査をしています。一度息子が溶連菌に感染して高熱が出て、私も明らかにそれをもらって高熱が出てるという状況で病院に行ったことがあります。「息子が溶連菌で」と説明しましたが、それでも必ずマラリア用の血液検査はされましたね。

高熱でマラリア検査の後、点滴。(マラリアではなかった)上にあるのは蚊帳のネットがぐるぐる巻にされたもの

ルワンダの病院だと、とにかくマラリアかそうじゃないかがまず大事。とても調子が悪そうで、ぐったりした娘を連れて行って血液検査。その結果が出たときに「グレートニュースだ。マラリアじゃないよ」なんて言われます。でも娘は相変わらずぐったりしてツラそう。。でも「グレートニュースですね、ありがとうございました」といった流れになります。笑

こんなマラリアですが、蚊帳以外に予防対策はないのか?
内服の予防薬があります。ただ副作用がかなり強いらしく、(私は飲んだことはないのですが)副作用が強い上に料金も高いということで、あまり実用的ではないかなと思います。ですが、今回ワクチンができたということで、画期的なニュースとして取り上げられていますし、実際、本当にとても画期的ですね!

ルワンダでも、けっこうカジュアルにというか、マラリアには多くの方がよくかかっていますね。「今日マラリアで休みます」など、まぁまぁあります。実際本当にマラリアなのかは怪しいところもあります笑。風邪っぽいとマラリアと言いがちなところも。
幸い、私はこれまでマラリアにかかったことは一度もありません。ですが友人で、キガリと田舎を往復して農業している友人はかかったことがありますね。

さて、歴史的なとっても喜ばしいニュースではありますが、ちょっと思ってしまったことをお話しします。

認定NPO法人マラリア・ノーモア・ジャパンさんの資料を拝見しました。このワクチンができるまでの道のりを、ご紹介しますね。
1984年〜1997年 開発初期
2004年 幼い子供に対する有効性が初めてみられる
2009年〜2014年 大規模な臨床試験で有効性が証明される
2015年 欧州医薬品庁が肯定的な見解を発表
2016年 WHOが選ばれた場所で段階的な導入を推奨
2016年 マラリアワクチン実施プログラムの資金が確保される
2017年 ガーナ、ケニア、マラウイがそのプログラムのパートナーとして発表される
そしてやっと、2021年、WHOがこれを子供にも使っていいですよってお墨付きを出すという経過をたどっています。37年ですよ!最初に着手されてから。

私はワクチンの作り方とか、許可の取り方とか、治験のやり方とか、全然知りませんが、こんなに時間かかるんだな…!と。今回の新型コロナでは2年かからずにワクチンができたのを考えると、ちょっと思っちゃいました。もしこれが、毎年40万人の犠牲者を出している地域が先進国で、犠牲者が子どもではなく多くの大人で、っていう状況だったら、こんなに時間かかってたのかなって。
製薬会社はグラクソ・スミスクラインというイギリスの会社ですが、実施プログラムの資金が2016年に確保されるまでは本当にいろいろあったんでしょうね。その資金をどう確保するか。本当に、いろいろと考えさせられるなぁと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?