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【書籍紹介】とことん極める! 腎盂腎炎

臨床医は腎盂腎炎のことを考えない日はない、と言っても過言ではありません。

「尿が汚くて熱があれば……腎盂腎炎!」
と思っていたら、実は別の疾患で痛い目にあった……という経験をされた方もいるのではないでしょうか。
頻度が高い疾患だからこそ、そこには臨床医の普段からの姿勢が現れてきます。カッコいい医師になるために、腎盂腎炎診療の深淵を覗いてみませんか?

本書籍は「治療」2021年9月号で大反響があった特集を書籍化したものです。項目数も増え、既存項目も加筆するなど大幅にパワーアップした内容となりました!

編集:長野広之、徳田嘉仁 B5判 221頁 4,000円+税

本の目次

Ⅰ 総 論
 1 たかが腎盂腎炎……されど腎盂腎炎!

Ⅱ 腎盂腎炎の診断編
 2 問診を極める
 3 悪寒戦慄ってどれくらい重要ですか?
 4 身体診察を極める ─ CVA 叩打痛って役に立ちますか? ─
 5 尿検査を極める ─ 尿検査でどこまで迫れますか? ─
 6 グラム染色を極める ─ グラム染色で注意するポイントはなんですか? ─
 7 単純性と複雑性腎盂腎炎の見分け方を極める
 8 閉塞性腎盂腎炎の診断方法を極める
 9 腎盂腎炎に対するエコー検査を極める ─ 水腎以外何をみたらいいです   か? ─
 10 腎盂腎炎の診断における CT 所見を極める ─ 腎周囲がもやもやしてた  ら腎盂腎炎ですか? ─
 11 前立腺炎の診断を極める ─ 高齢男性って難しくないですか? ─

Ⅲ 腎盂腎炎の治療,マネジメント編
 12 単純性腎盂腎炎における抗菌薬の選択と治療期間,治療方法を極める
 13 複雑性腎盂腎炎における抗菌薬の選択と治療期間,治療方法を極める
 14 腎盂腎炎のときによく使う抗菌薬セフトリアキソンを極める!
 15 腎盂腎炎に対する内服抗菌薬を極める ─ スイッチのタイミングなど ─
 16 前立腺炎合併時の治療選択と治療期間を極める
 17 腎膿瘍合併時の治療期間,ドレナージの適応について極める
 18 尿管ステントを極める ─ 種類,適応,コンサルトのタイミング ─
 19 治療効果判定・経過観察について極める ─ 経過がよくないときの鑑別  まで ─
 20 耐性菌が出ているけど臨床経過のよい腎盂腎炎に遭遇したら
 21 尿グラム染色でグラム陽性球菌が見えたとき何を考える?
 22 尿から嫌気性菌が発育したら何を考える?
 23 尿から検出され得る薬剤耐性菌について極める
 24 尿から耐性菌が出た場合の感染対策を極める ─ 病棟から在宅まで ─

Ⅳ 腎盂腎炎の再発予防編
 25 再発予防のためのバルーンの交換頻度 ─ そもそも定期交換は必要です  か? ─
 26 若い女性への再発予防の指導方法について ─ 実際どう指導しています  か? ─
 27 尿路感染を起こしやすいリスクファクターへの介入
 28 クランベリーって意味あるの? ─ 再発予防に使える薬剤,その他につ  いて ─

Ⅴ 腎盂腎炎のtips編
 29 閉塞+ウレアーゼ産生菌による腎盂腎炎は,意識障害を起こす?
 30 尿臭,尿色は尿路感染に関連するのか?
 31 尿培養から真菌が発育したら?
 32 嚢胞内感染,どう診断・治療する?
 33 気腫性膀胱炎 / 気腫性腎盂腎炎とは?
 34 尿路感染症の治療に“尿道バルーンカテーテル留置/交換”は必要か?
 35 無症候性細菌尿と尿路感染の区別はどうする?
 36 透析患者で注意する尿路感染症(膀胱膿症) ─ 無尿なのに膀胱内に液  体が!? ─
 37 小児の腎盂腎炎 ─ 採尿方法や小児という背景の差への理解 ─
 38 在宅医療における腎盂腎炎
 39 在宅での尿道カテーテル管理と抜去
 40 腎盂腎炎とマルチモビディティ
 41 尿道カテーテル留置のコツ ─ うまくカテーテルが入らないときのtips ─
 42 尿閉解除後の post obstructive diuresis と血尿について

Ⅵ 多職種連携編
 43 尿道カテーテルと看護,管理方法について
 44 自己導尿の指導方法
 45 排尿ケアチーム
 46 腎盂腎炎マネジメントにおける薬剤師の視点

とことん腎盂腎炎に向き合う

目次を眺めてみると、そもそも腎盂腎炎というテーマで46項目もあることにちょっと驚く方もいるかもしれません。普段から見ている疾患であるとはいえ、極めるポイントが少なくともこれだけあるということです。

診断編だけでも、問診、身体診察から尿検査、グラム染色、エコーにCTとトピックが盛りだくさんです。原因菌や抗菌薬のテーマもたくさんありますので、この本の内容をマスターしていくことが、感染症診療上達への近道になりそうです。

グラム染色のやり方のコツや診かたも解説しています
エコーやCTなどでチェックする点もまとめられています

書籍版で新たに設けられた多職種連携編では看護師や薬剤師の方にご執筆いただいております。医師の診療も周りのサポートあってこそ。そして周囲が何を意識してケアにあたっているか知ることは、円滑なチーム医療において重要です。
カテーテル管理や導尿の指導、排尿自立支援や薬の相互作用など、広い視野を身に付けて、ワンランク上の診療を目指しましょう。

パグも冷や汗もの

カバーデザインについては、企画当初より編集の先生方から目立たせたい!とのリクエストをいただいておりました。
おしっこの本だとわかってもらえて、でも下品には見えないようにというバランス感覚の必要なデザインでしたが、モチーフを探しているときにパグのおしっこ中の写真を見つけ、「これだ!」ということでイラスト化してもらい、冒頭に示したデザインに決まったのでした。

ちなみに背景の丸模様は検尿カップの底にある三重円をモチーフにしておりまして(尿の色や濁りを見るための模様です)、当初パグ案の対抗デザインのひとつとして挙げたものを組み込んだのでした。
私がデザイナーさんへ「パグ案のほかにこんなのをイメージしたんですがパッとしなくて…」と渡した、○とりっぷみたいな(?)素案をここにあげて供養したいと思います。うーんパッとしない…

ちなみにカバーだけでなく紙面の方もおしっこ本ということをイメージして黄色系の配色となっています。

編集部目線の編集後記

こちらの企画は、雑誌特集からの書籍だったという点は触れましたが、そもそもの企画の発端は編集の長野先生のSNSでの投稿からでした。

「最近、誤嚥性肺炎の書籍や雑誌特集が盛り上がっているけれど、それと同じくらいコモンで発熱の原因となる腎盂腎炎についても取り上げればよいのに…」といった感じの内容だったのですが、当時、私の方も「終末期の肺炎」の書籍製作を終えて、誤嚥性肺炎に並ぶコモンな疾患である尿路感染症の企画ができないかと考えていたのですが、一度社内会議ではじかれてしまい、トホホと思っていた矢先に長野先生の投稿を見つけたのでした。

長野先生の投稿には徳田先生はじめ、それを見た多くの先生方がコメントで盛り上がっておりまして、
「これ出版社に持ち込みましょうよ! 最近だと〇〇社がいいんじゃないですか!」というコメントもあって、
「え、ちょっt…他社…」とかなり焦りました💦
長野先生の投稿を見つけてしまった手前、他社から刊行されたらめちゃくちゃ後悔する!と思って覚悟を決めて、長野先生にスライディング土下座する勢いで連絡を取ったのでした。

そんなわけで私としては不思議な引き合わせがあって成就した企画。コモンな疾患だけに多くの方に役立てていただける内容となっておりますので、ぜひ手に取っていただければ嬉しいです🐕

文責:編集部 カーター

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