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線香花火 -よさこいチームちるらむ発足前夜譚- ①ちえみ編

 2022年 8月某日。

 LINEのトーク画面に、「線香花火」という名のグループチャットが突如出現しました。
 身に覚えが無さすぎて一瞬膠着するものの、中にいる面々を確認して、なんとなくの仮説は浮かびました。そこには、後に「よさこいチームちるらむ」の統括になるさえないと、副代表になるとうり、それから私が名を連ねていたのでした。
 すみません、申し遅れました。私はよさこいチームちるらむの副代表、ちえみといいます。

 ああ、元花火の飲み会グループか何かか。

これが私の頭に浮かんだ仮説です。

 「花火」というのは、「早稲田大学よさこいチーム 東京花火」というサークルのことで、先の3名がかつて所属していた学生よさこいチームのこと。
 何も知らない私は「?」とだけ送信しました。
 正確な文面は覚えていませんが、さえないからは予想だにしない返事が来ました。それは、

 社会人のよさこいチームを作ろう。

というもの。

 正直、彼のメッセージの意図を図りかねていたのですが、とにかく飲んで話そうとのことで、3人での飲み会が開かれました。
 あれ、そういう意味では、私の仮説はあながち間違ってはいなかったのかも??


 渋谷の居酒屋に3人は集まりました。そこで、このグループが爆誕した背景について、さえないの口から残りの2人に伝えられます。
 どうやら彼は、私が以前、何気ない気持ちで発した「チーム作りに興味があるんだよね」といった主旨の発言を記憶していたらしく、同様の会話を同時多発的にしていたというとうりも含め、本気でチームを作るための相談を持ちかけてきました。
 
 私はすぐに「面白い」とだけ返したと記憶しています。お酒を飲んでいてついついテキトーに同調した、というのではありません。その場で確かに「面白い」と思ったことは間違いないです。
 「やりたい」とかでなく「面白い」と言いました。
 そしてとうりも同様のリアクションでした。

 ということで、なんともあっさり、この3人によるよさこいチーム発足に向けた企みが始動するのでした。
 と言っても、各々がこの企みに対して期待するところは、この時点ではてんでんバラバラだったことと思います。

 概して、私たちが何か新しいことを始めようと思い立つような時、その裏には、個々によって強弱はあれど、「満たされない感情」があると思います。

 ある人は、現状への絶望感こそが独立の動機であったと言い、またある人は、渇き(渇望)こそが起業を志した理由だと語ります。
 
 いずれにしても、なんらか満たされない気持ちというのがあって、その気持ちを埋めるべく、私たちは新たな行動を起こしたりします。
 ここで、我々の満たされなかった気持ちを辿るには、チームコンセプトについてお話するのが良さそうです。

 よさこいチームちるらむのコンセプトは「集い」。このチームを中心に踊り子も観てくれる方も何度も集まれる、そんなチームを目指したい。こんな想いが込められています。
 このチームコンセプトには、特に統括さえないの満たされない感情が反映されている、と私は感じています。
 彼はかつて、先にご紹介した「東京花火」の代表でした。学生チームには引退という概念があり、全チームメンバー、例外なく毎年入会と引退のサイクルの中に身を投じます。

 だからこそ彼の心の中には、

「社会人になってもよさこいを続けたい。再開したい。でも知り合いもいないところに大人になってから飛び込むのは気が引ける。」

とか、

「今あるチームはある程度歴史が長く、途中加入しても自分の色を出せないかも。今はない独特の世界観を持ったチームがあれば…。」

といった気持ちを抱える人が、頑張れば自分の手の届く範囲に一定数いて、自分がチームを作ることで、このまだ見ぬ満たされない気持ちを満たすことができる、と考えたのだと思っています。

 私の満たされな心は先の例で言うと前者に近く、とうりは後者に近いと思います。彼女はいま、チームのビジュアルやデザインの要であり、世界観を持ったチーム作りを体現しています。もっとも本人は「とにかく衣装が作れればなんでもいい」と言っていますが。

 さて、長くなってしまいましたが、以上がちるらむの発足前夜のお話です。ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

 今後も掘れば掘るほど味わい深い、ちるらむというチームについてご紹介していけたらと思います。よろしければまた遊びに来てください。

次回、副代表とうり編。


▼ちるらむリンク集

▼文・ちえみ(ライター名 ゆきふる)


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