ツバメと夕暮れ
仕事が終わった後、電車の待ち時間が長いので、周辺を散歩することがあります。
職場は山が近い宿場町にあります。
メインの通り沿いには、山へ湯治に行く人が泊まったのであろう、宿屋の面影を残した古い立派な建物が何軒も残っています。
チチチチ
そんな鳴き声がして振り向くと、ツバメがさっと目の前を横切って、そういう建物の屋根の下に消えます。
どんな複雑な構造の屋根なのやら、鳴き声はするのに姿は見えません。
ツバメの巣を見ようと思って、観光協会が入っている比較的新しい建物へ行きます。
カフェやレストラン、ホールがあるような文化施設で、ここにツバメの巣が4つほどあります。
こちらは巣が丸見えです。
私が見に行ったときには巣からヒナが4羽顔を出して、まもなく巣立ちそうな案配でした。
私は電車通勤なので駅をよく利用します。
駅舎にはツバメの巣はひとつもありませんが、ツバメがたくさんいます。
ぶつかるものが少ないからか、広い駅前ロータリーで、ヒナが飛ぶ練習をしているように見えます。
ピピピ
ツバメのヒナの鳴き声はピの音が強いです。
私が駅でツバメを見るのはだいたい日が沈む頃です。
もしかしたら街灯に集まる虫をつかまえる練習をしているのかもしれません。
夕暮れの駅前ロータリーでツバメが飛び交う様子は、なんとも不規則で、これが乱舞かという案配です。
いつまでも見ていたいと思うけれど、いつの間にか抜けて、目の前からいなくなってしまうのでした。
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