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鳥見ハイキング<I公園編>4/4話 2022年6月 オオルリと、子育て中のコルリ。

     先日、鳥見仲間で茶飲み友達のモカさんとI公園へ行ってきました。

 公園と言っても歩けばほとんど登山です。
 奥にある谷まで行ったので、帰りは谷を登りました。

 途中に小さなお社がありました。

 行きにモカさんが
 「クマに会いませんように」
 と、手を合わせたのを見ていたので、帰りは私が
 「おかげさまでクマに会いませんでした」
 こうに手を合わせてきました。

 ふと見ると、モカさんはお社の向こうを凝視しています。
 お社の裏側へ進み、崖になっている向こうを指して言いました。
 「オオルリ」

 私に居場所を教えようとして、言葉を失っていました。
 「うんと……木がごちゃごちゃした中」
 でも、それで十分でした。
 私もすぐにオオルリの姿を見つけることができました。

 きれいな青い背中をこちらに向けて、歌っていました。
 木のてっぺんで歌うことが多いのですけど、この時は中間くらいの枝にいました。
 木がごちゃごちゃした中の鳥を見つけるなんて、モカさん、すごすぎです。

オオルリ

 モカさんの目はさらに次の小鳥を見つけたのでした。
 「いた!」
 「そこでコルリがしっぽを振っている」
 「まさかの!」
 でも、私がカメラを構えたときにはいなくなっていました。

 モカさんが残念そうに藪の周囲を歩いてチェックします。
 しばらくその藪を見ていたので、私も藪の前で待つことにしました。

 私はモカさんが動かないので待っていたつもりだったのですが、後で聞くと、モカさんは私が動かなかったので待っていたそうな。

 そして、待っていたら、いいことがありました。
 「いた!」
 モカさんが違う藪を指しました。
 場所を的確に教えてくれたので私にもすぐに分かりました。

 青い背中に白いのど、コルリに間違いありませんでした。
 「かわいい!」
 コルリはふっと姿を消してしまいました。

コルリ

 姿を見せてくれたのは一瞬でしたが、うまく撮ることができました。
 「コルリ、はじめて!」
 「虫をくわえていたね」

 そんなことを言い合っていたら、モカさんが
 「また、いた!」
 「さっきの枝の左!」

 先ほどと同じ子だと思われるコルリがまた来てくれました。
 「今度は違う虫をくわえているね」
 「本当だね」
 そしてコルリはまたふっと姿を消しました。

 私は思いついたことをそのまま口にしていました。
 「きっとあそこに巣があるんだね」
 言ってからハッとしました。

 野鳥観察において、子育て中の鳥をおどろかしてしまうことは厳禁です。
 それも、よりによってコルリの巣を見つけてしまうとは。

 モカさんも同じ事を思ったのか、そっとその場を離れ始めました。

 私たちは何も見なかったふりをして山をおりました。

おわり。


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