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スケール感(空間感覚のものさし)

今日は、空間感覚のものさし、スケール感について書いてみます。

テレビなどで、広さを説明するとき「東京ドーム○○個分の広さです!」という表現を聞くことがあります。東京ドームに行ったことがない私には、現実味を持ってその広さを感じることはできません。

東京ドームの広さは46,755㎡だそうです。正方形にすると1辺約216m四方ということになります。私にはこの説明の方が分かりやすいです。

■「東京ドームとは」(東京ドームシティWebページ)   https://www.tokyo-dome.co.jp/dome/about/

距離の説明では、「駅から徒歩○○分」という表現が身近にありますね。この表示は1分で80m進むものとして計算することが決まっているそうです。

■「所要時間(徒歩所要時間)とは」(アットホームWebページ)https://www.athome.co.jp/contents/words/term_59/
■「不動産の表示に関する公正競争規約及び施行規則」https://www.jfftc.org/rule_kiyaku/pdf_kiyaku_hyouji/066.pdf

また、長さや量の大きさを説明するときに、「積み上げると〇〇本で月まで届きます」のような表現がありますね。月までの距離は平均で約38万kmだそうです。ちなみに、光の速度は秒速約30万kmです。

■「月までの距離はどれくらい?」(仙台市天文台Webページ)http://www.sendai-astro.jp/observation/blog/2010/08/q014.html

このサイトでは身近な乗り物でどのくらい時間がかかるか説明していて面白いです。

■2019年最大の満月(2019年2月):(国立天文台Webページ)

このサイトでは楕円の軌道を描く月と地球との距離の変化を図で説明していて分かりやすいです。

私たち人間の認識の感覚に基づいて空間を理解する方法として、ヒューマンスケール(人間のスケールともいえるでしょうか)という考え方があります。これは、建物や公園などの使いやすさやそこでの人間のふるまいを考えるとき、人間の立場からいえば「ユーザビリティ」、それに働きかける環境の側から考えれば「アフォーダンス」に近いものとしてもとらえられるかもしれません。基本的には、月までの距離のような大きなものより、人間の身体による行動が及ぶ範囲で考える場合が多いと思います。

例えば、皆さんは自分の一歩が何cmか分かりますか。私は自然地理学の実習で計測したことがあり、そのときの一歩は約71cmでした。
一歩の長さは、たとえば20mくらいの長さを何歩で歩いたかを何度かカウントし、平均することで求めることができます(20mを30歩で歩く人の一歩は約67cmです)。巻き尺を日常的に持ち歩く人はいないと思いますが、自分の一歩を知っていれば、だいたいの長さを測ることができます。
こうした方法は歩測といって、伊能忠敬の測量でも用いられたそうです。

(伊能忠敬旧宅:千葉県香取市、地理院地図より)

(伊能忠敬墓:東京都台東区、地理院地図より)

このほか、両手を広げたときの左右の指先の間の長さは身長とほぼ等しいといわれています。両手を広げて何回分というふうに、部屋の中の長さを測ることもできます。

自分のなかに、空間を理解するためのスケール(ものさし)があると、世界をみる視野が広がります。旅行や日々の生活にも、小さな楽しみがプラスされるかもしれません。

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