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かんたんキーワード:「空間スケール」

 今回は、空間スケールについて簡単に説明します。

 スケールについては、以前に他の記事を書いたことがあります。

 このときには、「東京ドーム何個分」の例などを挙げながら文章を書きました。考えてみると、私たちにはそれぞれに空間スケールに関する身体的な感覚が形成されています。

 アメリカなどで使われる長さの単位のFeet(フィート)は足の大きさをもとにしたものと言われています。日本の場合は、「尺」が手のひらを開いたときの親指と中指の間の幅を示すそうです。

 長さの単位について調べていたら、大日本図書さんのWebサイトが、「いろいろな単位」というページでとても分かりやすい情報を公開していました。長さの相互変換の計算もできますので、一度見てみてください。

 こうした長さの感覚は、共通の基準がないときは、身体を使ったスケールとして意味があったと思います。ただし、国を超えてものづくりや技術伝達などをしていく場合には、長さは共通の基準を持つことが大切です。日本では現在はメートル法が一般的に利用されていますね。共通のものさしを持つことは、科学や技術の進展や相互交流において重要なことだと思います。

 ちなみに、英語なのであまりきちんと読めていませんが、「Key Ideas in Geography」のシリーズに『scale』(Andrew Herod,2011,Routledge)という本もあり、そこで扱われている最小のスケールの単位は「身体(body)」でした。

 この記事で書いたような単なる長さを測る尺度としての身体ではなく、身体をどのようにとらえるか(生物学的身体と社会的に構築される身体など)という視点などで議論されており、難しいですが勉強になりそうです。この本では「body-urban-regional-national-global」(身体-都市-地域-国家-地球規模)の章で構成されています。

 日本語で読める本では、『政治・空間・場所―「政治の地理学」に向けて―』(山崎孝史,2010,ナカニシヤ出版)で、スケールに関する議論が分かりやすく説明されています(私が読んだのは2010年の初版ですが、2013年に改訂版が出ているようです)。「地図学的スケール」、「方法論的スケール」、「地理的スケール」の三つの視点についても説明がなされており、また、スケールが重層的であることをふまえた考え方が示されています。

 ということで、身近に感じるスケールの例から、少し難しい理論的な話まで書いてみました。空間スケールに対するとらえ方は幅広いので、それぞれの関心に合う内容で、地理に関連する書籍を読んでいただければと思います。

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