映画『MINAMATA』を観て、水俣のいまを知ってほしい①水俣ってどこ?
9月23日、映画『MINAMATA-ミナマタ-』が公開となりました。ジョニー・デップ主演ということで注目を集めていますが、この映画について、私は書きたいことが山ほどあります。というのも、私は水俣にルーツのある人間だからです。
早速映画を観てきましたが、素晴らしい作品でした。また感想や考えたことはゆっくり記事にまとめますが、今回は「水俣ってどこ?」という方のために、簡単な解説を書いてみます。
水俣ってどこ?
水俣と聞いて、多くの方が「水俣病」を社会科の教科書などで学んだことを思い出してくださると思います。ただ、四大公害病の発生した場所ということは知っていても、水俣がどこなのか、はっきりとイメージできない方もいるのではないでしょうか。今回は、地図を使って水俣の位置を簡単に説明します。
水俣市は、九州の中央にある熊本県の南端にあります。熊本と聞いて、阿蘇山や天草は聞いたことがあるという方もいらっしゃるかと思い、地図に書き込んでおきました。
地図でみる水俣
つづいて、地理院地図(オンラインで見られる地形図のサイト)でみた水俣市中心部の地図です。陰影起伏も付けておきました。水俣は山が海の近くまでせまり、平野の少ない地形です。限られた平地にチッソ水俣工場の敷地がありますね。チッソが水俣病の原因企業であることを知っていらっしゃる方は驚くかもしれません。チッソは今も水俣で操業しており、関連企業を含めたくさんの人が働いています。単純に原因企業イコール悪者、という構図ではない複雑さが水俣にはあります。
交通アクセスが悪いと思っている方もいるかもしれませんが、九州新幹線の「新水俣駅」もあります。JR在来線を引き継いだ肥薩おれんじ鉄道の「水俣駅」はチッソの正面に位置しています。
ここで、1970年代の空中写真を見てみましょう。先ほどの地図と海岸線の形が違うのが分かりますか。
これが最新の空中写真です。有機水銀で汚染された汚泥を埋め立て、エコパーク水俣という埋立地ができており、水俣病資料館や運動公園、バラ園などがあります。
この映画をきっかけに「水俣のいま」を知ってほしい
最後に、出演している真田広之さん、加瀬亮さんのインタビューの動画のリンクを貼っておきます。
真田さんがインタビューの後半で、水俣が美しい海を取り戻したこと、患者さんのことやいまの水俣のことも知ってほしいという内容を語ってくださっていて、とても嬉しかったです。
加瀬さんは、水俣について発信を続けた石牟礼道子さんにも言及しつつ、声なき声を伝えることの大切さを語っています。このように出演する方が作品の背景まで深く理解して演じてくださっているからこそ、素晴らしい作品になっているのだと感じました。
皆さんぜひ映画館へ
ということで今回は、水俣の位置と地形などについて簡単に説明しました。映画を観て考えたことなど、今後改めて記事を書いてみたいと思っています。公害をテーマにしているので「重い内容」と思っている方がいるかもしれません。しかし、実際に観てみるとそんなことはありませんでした。また、写真や芸術に関わる方にとっては、写真家ユージン・スミスと水俣の人々との関わり方から考えることが多いのではないかと思います。ぜひ皆さん映画館に足を運んでください。
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