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石井ゆかりさんの12星座シリーズ「水瓶座」と私と友人

もう何年も前のこと、気の置けない友人から、ある時一冊の本を薦められました。石井ゆかりさんの12星座シリーズ「水瓶座」です。

人に本を薦めるのはとても難しいのではないかと思います。一般向けなら好みが合わない人もいるよね、という前提で選べるのでまだいいのですが、特定の誰かに向けてとなると、私はあなたのことを考えたうえでこれがいいと思って薦めます、ということになってしまうので、結構勇気がいるものです。しかし、この友人からは本だけでなく、音楽を薦められたりもしていて、それがまた私のストライクゾーンにバシッとハマってきていましたので、私も自信を持って薦めてもらえます。
ところが、今回ばかりはそうはいきそうにありません。星占いの本です。
私は占いを信じるようなタイプでもないし、なんならちょっと胡散臭いんじゃないかという前提で入ってしまうところがあるくらいです。正直なところ、よくこんな星占いの本を私に薦めてきたな、という思いもあったのですが、せっかくなのでまあとりあえず読んでみようか、と手に取ってみました。

するとどうでしょう、ああ私はやはり水瓶座の星のもとに生まれてきたんだなあ、としみじみと感じ入ってしまいました。

水瓶座が脱出しようとしているのは、階級や階層に縛られなければ成立しない社会的なしくみです。

「就職すべきだ」「結婚すべきだ」などの価値観があったとして、水瓶座の人は「就職とはなにか?」「結婚とはなにか?」と、ゼロから自分の頭脳で考え始めるのです。

水瓶座は、一般に正しいと思われていることや善とされていることをも、論理を用いて知的に分解していきます。そして、「これが善であるという根拠はどこにもない」という結論を導き出したりするのです。

社会的なコミュニケーションは、聞くことも語ることも「テンプレートやフォーマットに少しだけ変化を加える」ことで成り立っています。ゼロから構築された水瓶座の発想は、受取手の側になんのテンプレートも存在しないので、まずそれを受け止める姿勢を持ってもらうことが難しいのです。

自分では表現できなかったけれど、まさしく自分のことを言い表してくれているのだと感じるような言葉が、ページをめくるたびに次から次へと出てくるのです。上記の引用は、最初のトピック「水瓶座の風景」に記されていますが、読み進めるにつれ、さらに行動や傾向、価値観など、あらゆるトピックで自分のことを表現してくれています。

しかし、それがすんなり入ってきたのは、内容の力だけではありません。文章の流麗さとでも言いましょうか、きっと著者の人柄なのだと思いますが、包み込むような優しさや、人と向かい合うときの丁寧さが感じられ、それらがとても強く影響したように思います。
私は石井ゆかりさんの文章に惚れました。

石井ゆかりさんの文章と私を結び付けた友人の見立てには感服するばかりです。


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自分の真意を相手にベラベラと伝えるだけが友情の行為ではないということさ。それがわたしの提唱する真・友情パワーだ…(キン肉アタル)