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『saṃsāra(サンサーラ)』

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犬と私の物語です。 ただ書きなぐった物語なので なおさなきゃいけないところはあると思うのですが 良かったら読んでみてください。
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記事一覧

『saṃsāra(サンサーラ)』17

17       始   犬の最後は私が思っていた以上にあっさりで。 思っていた以上悲しくもなく…

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『saṃsāra(サンサーラ)』16

16      着   花火が花を開いていく。 一つ二つ三つ。四つ五つ、いつまでもいつまでも続い…

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『saṃsāra(サンサーラ)』15

15       時   七回の鐘が鳴り響く。 ドーンとかボーンと 高く高く鳴り響いていく 空を独…

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『saṃsāra(サンサーラ)』9

9      瓜   「でも今の鐘ぎゃ、もう四回もなっていたざなんですね」ツンという音の様子で…

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『saṃsāra(サンサーラ)』14

14     桃   あの部屋はいつの間にか跡形もなく消えている。 あの大きな男の影も、盤面の…

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『saṃsāra(サンサーラ)』13

13       座   縦に一から八。黒い人型の影がゆらゆら揺らめいている。 横に一から八。透…

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『saṃsāra(サンサーラ)』12

12       癪   いつだったか聞いていた話は本当だったようで、山は猫の癇癪によって騒ぎ出す。 猫と山を一度になだめるのは大変で、猫の機嫌を取れば山は不愛想になるし、山をおだてれば猫は口をきかなくなるしまつだ。 慌てて双方に落ち着いてもらうよう説得を繰り返すのだけれども、双方が納得する答えなどすぐに思いつくものではない。 「旦那様。私にはよくわからないのですが、多分これはいつも通りですよ」その言葉に彼女が反応する。 「確かにね。しかしそれじゃきりがない」と、言うのも揉め

『saṃsāra(サンサーラ)』11

1 1      北   振動はひとつだって、やむことがなく絶えず私たちを苦しめる。 いつ終わる…

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『saṃsāra(サンサーラ)』10

10       扉   どこからか燈籠が流れ込んでくる。中空にふわりふわり。どこからやってく…

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『saṃsāra(サンサーラ)』8

8       道   いい道と悪い道があってそのどちらも、まっすぐで不味い。そのどちらにも…

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『saṃsāra(サンサーラ)』7

  7      狐   トントンテンテン、トントンテ 狐が跳ねるよ、おかしな面を顔に着け。 テ…

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『saṃsāra(サンサーラ)』6

6       亀   ガラスの橋の端が突然現れた。そこから先はまさに何もなく下る階段もない。…

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『saṃsāra(サンサーラ)』5

5       雲   雲の中、私は犬を連れてひたひたと歩き続ける。足を少し取られながら。蝶が…

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『saṃsāra(サンサーラ)』 4

4       月   見事な月に、蝶の踊りに私たちは足を止める。蝶は階段をつくるのをやめている。いまは橋を作っている。 あたりはどこまでもよく見える。希望のように。あの暗闇が嘘のように。月はすべての暗闇を吹き飛ばしてくれた。私は最後の階段の端に腰を下ろす。   そっと月を見る。 月は私を見ている。   月は私を見下している。 私は月を見上げている。   月の光は私の中身を洗い流しているようだ。 私は月に私を洗浄してもらっているようだ。   犬は何も言わず私たちの、その姿をた