宗教2世問題は「虐待サバイバーの心理状態」という視点が必要だと思う①


【はじめに】宗教1世のお母さまに罪悪感を抱いてきた、とある2世のこと…

10月29日(日)21:00〜放送のNHKスペシャル「宗教2世を生きる」を視聴しました。

(11月3日放送のドラマは視聴できておりません…。私はドキュメンタリーを見ただけでも落ち着かない精神状態になったので、控えたほうが安全かなという気持ちはありました。)

ドキュメンタリーで私が引っ掛かってしまったのが、番組にエホバの証人2世の女性が、輸血拒否で亡くなったお母様への罪悪感を抱えつづけているというところでした。
女性は少しでもお母様を理解したくて、お母様と同年代のエホバの証人をやめた女性、そして現役信者の女性と対話をしに出かけます。

※この対話自体は、私も気付かされるものがありました。その気づきは、こちらの記事で書いています。


1.宗教2世も、他の虐待サバイバー同様「罪悪感」を抱きやすかったり、自分を責めたりしやすいのではないか…

ただ両親(キリスト教1世となり、私を主に虐待したのは母ですが…)と分かりあうことを何度か試み、諦めた私には苦しい内容ではありました。

ただ、ふと私自身の経験で思い出したこともあります。もちろん、取材に答えていらっしゃった女性と私の人生はちがいます。

ここから書くことは、「親への罪悪感」という軸から生じた、私の一人語りです。

そこから何が言いたいのかを先に言ってしまうと、
「宗教2世も他の虐待サバイバーと同じように『トラウマというのは、被害に遭った側が罪悪感を抱きやすい、自分を責めやすい』
という面を織り込んで考える必要があるのではないか」

ということです。

宗教虐待自体が(おそらく日本では)新しい概念で、分からないことも多いと思います。
しかし、SNSで宗教2世の生い立ちを見ていると、宗教虐待といわゆる「一般的な虐待」が一体になっていることが少なくなさそうです。

つまり宗教2世問題も、「虐待されて大人になった人たちの傾向」という視点を組み入れることが大切なのではないでしょうか。


2.親孝行になりそこね、究極の「親不孝」になった私の話

2-1.「私が500万円払えば、母は赦してくれるのでしょうか」と泣いていた頃のこと…


私は、経済的には恵まれていた宗教2世(虐待サバイバー)です。大学在学中にメンタルを壊して働くことができず、両親からは卒業後に資格を取るための援助をしてもらいました。

正直、恵まれていたくせに宗教2世や虐待サバイバーの立場で語ることへの申し訳なさ、居心地の悪さは感じています。
(だからこのnoteは、あくまで自分の気持ちと記憶の整理のために書いています。社会的に恵まれている人たちにも虐待被害者がいることを発信する意義も、少しはあるかもしれないと思いながら…。)

そんな私は結婚後しばらくして、実家との交流をやめました。理由は主に二つです。
一つは、母から暴力を振るわれた記憶のフラッシュバックがひどくなって生活が成り立たなくなったこと。もう一つは母から夫に対して、私の悪口をまとめた文章を送りつけられたため、母と分かりあうことは不可能だと諦めの気持ちになったことです。

それでも両親にお金を使わせてしまったことへの罪悪感が、なかったわけではありません。
ちょうど臨床心理士からトラウマ治療を受け始めた私は、本気で泣きながら心理士に相談していました。

「私が500万円くらい払えば、母は赦してくれるのでしょうか。お金を払ったら、私はもう自分の人生を生きてもいいんでしょうか」

心理士からは、
「お金もエネルギーも、過去から未来に流れるのが正常なんですよ。現在から過去に無理矢理流さなくてもいいと思いますよ」
と言ってもらったもののピンと来ず…。

その後は「お金を返せと言うなら、私が小学生のときに受けた医療用ホチキスを使うような暴行も返せってことよね」と開き直ってしまったこともありました。

それでも私は未だに、借金取りに追われているような感覚が根強く残っています。
私がお金を稼げるようになったり、社会的にバンバン活躍できるようになったら(私の能力の問題はさておき…)、母が「私の負債」を取り立てに来るに違いないと怖くてたまらないのです。
たぶんね、際限なくし「恩返し」を求められつづけることになる…。


長くなってしまったので、今日の記事はここまでにします。

次の記事では
・両親が望んだ親孝行について
・私は本当に、一方的に親から搾取した人間だったのか
・トラウマ症状は、思考のクセにも現れるのだ…


という話を書いていきます。
お付き合いいただければ、嬉しいです。






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