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「答え合わせ」の旅⑳

ここが私のアナザースカイ

ゆったり朝食をとり、ゆったり準備を。
初日に頑張って買ったトラム1時間券を持って、いざAmsterdam Centraal Stationへトラムを乗る。

ポーっとチケットリーダーに読み込ませ、うねうねと揺られ着く。オランダ語特有のこもった発音のアナウンスも耳に馴染んできた。トラムにもう不安はない。

さてさてそんな私は本日列車に初乗車。
UtrechtまではAmsterdam Centraal Stationから約30分NSという国鉄に乗る。日本でいうJRね。
また勝手が違うのだが、予習を思い出し実践しましょう。どれどれ、券売機へ。

まずは英語に変換。日本の券売機はこうした言語変換ボタンなんてあるのかしら、って思う。きっとあるか。
駅名を検索する。Uって打ってUtrecht Centraal Stationをピッ。1wayは片道という意味らしい。今回は往復券でよし。
1stクラス、2ndクラスなんてのも選ばなきゃいけない。1等車、2等車みたいなこと。こちらはランクの低い2等車でよし。てな感じでクレジットを差し込むだかタッチするだかをしてGET。

Utrecht行きのチケット

またこの頼りない紙を改札ゲートみたいのにタッチしてパカッと開いた。いよぉし。第一関門クリア。
電光掲示板と9292も見つつ、Utrecht行きのホームへ。ちなみにこの首都の駅構内に入ってみて思ったのは、東京駅のが断然広いし人が多い。拍子抜けだった。
しかしホームの広さは日本の悠に2~3倍くらいある。列車もでかい。2階建てだから新幹線よりでかく感じる。そしてホームきれい。

NS。強そう。

この真っ黄色の列車に乗る。2とかかれた2等車へ。
せっかくだから、というか1階席空いてるかわからなく2階席に行ってみた。

適当な空いてる座席へ。みんなよくしゃべってるから私もInstagram回そっと。土曜日。意外に観てくれる人はいた。
昨日の運河クルーズのドイツ人の端整な顔をみてからの自分のインカメはしんどい。ほどなく風景を映しながら回した。

もうすぐ着くのかな、と思って9292との到着時間ともにらめっこ。アナウンスのウトレヒトの響きに似たものを聞き逃さぬよう注意深く。
ほどなくして着く。階段を下がってドア前に立ち降車を待った。

ドアが開いてユトレヒトの空気が舞い込む。
だだっ広いホーム。
結構驚いたのはこちらはホームにゴミ箱が散見すること。何年か前フランスとかテロが多発してたから、欧州こそゴミ箱撤廃してるのかと思ってた。
日本ではいまや外でゴミ箱を見つけるのが大変。コンビニも店内になってしまったし、訪日外国人も日本はどこでゴミを捨てるの?と不思議なようだ。

階段を上り構内へ。でかー!
Amsterdam Centraal Stationよりでかいや。どっち口から出ればいいかわからなくて、しばし立ち止まる。
有料トイレがある。これも異文化と思って経験しようとしたが、硬貨が必要のよう。
キャッシュレス文化が浸透しすぎて、紙幣も念のため持ってきたが、崩す場所もなかった。ここでは諦めよう。

toiletten

Google Mapを模索し、こっちかと思った改札口へ。
紙のカードをかざし出ることができた。出る方が緊張する。
駅を出るとバカでかいショッピングモール。わぁ。
余裕持って出たからNijntje Museumにはまだ2時間くらいある。
こういうとこのトイレはどうなのかな、と。探検。やっぱ有料か。

0.9€トイレ。

一回並んだけどコインの挿入口しかないのと、反対にクレジットカードの挿入口は見つからなかった。怖くなって列から逃げ出した。
しばらく後ろからみんなの様子をみてチンパンジー学習中。
ふむふむ。カードは使えるよう。だが日本人はびっくりなことに、クレジットカードはタッチ決済のみ。
去年の初めにエポスをゴールドカードに替えるついでにタッチに変えといてマジでマジで良かった。
差し込みのみのカードしか持ってなかったら、トイレさえ行けなかった。

再チャレンジ。Visaタッチして、チロリンと無事通過。もちろんここでもレシートが出てきた。最初このバーコードで何回もトイレ入れるのかなって思ったけど、確か違った。後でよく調べたら、ショッピングモールでお買い物してこのレシートを見せたら0.2€ぐらい返金として割引されるんだった気がする。ほぉ。面白いシステム。

ちょっくらブラブラしますか。お土産買いたいんだよね。
うろうろ。うろうろ。うろうろ。
はい、だいぶ迷って到着。
ACTIONてのがスーパーのような雑貨店のような、何でも屋。日本だとドン.キホーテみたいな?ドン.キホーテのがすごいけど。
バラマキ用のお土産を買いたかったが、品揃えはあんまりだったので何も買わず出ることにした。
さて出ようと思ったら出口にまたゲート出現。
この国はすぐゲートを作りやがる。
入口に戻ってみたが、そっちこそもう逆流できない。ふええん、って思ってたら出口のゲートをくぐる人発見!Niceお手本。特にブザーも鳴ってないし私もぺこりとくぐって見事脱出成功!
そう何回もチンパンジーになってたまるか。

そろそろNijntje Museumの場所を把握ぐらいしときましょうかね。とショッピングモールから出た。
駅前で市場が開かれてる。わぁ、なんかいいね。
にやけちゃう。
今日が土曜という特性もこの街の活気を盛り立てる。

街中にもミッフィーが隠れてるらしい。ミッフィー探しに行こう、とスマホから顔を上げると。わ!ここかい!って口から思いっきり驚きが漏れた。
この街で初めて渡る横断歩道に噂のミッフィー信号がひょこり。

青になると歩く絵柄のミッフィーちゃんが出現。

世界で唯一のミッフィー信号。ずっとずっと知ってたけどやっと会えたぁ。
オランダの旅行ガイドブックの中に入れたみたい。
写真撮れてないけど、ここの横断歩道は白色でなくレインボーカラー。これはLGBTの象徴の色らしい。
さっすが同性婚の合法化も世界最速の国。
こういう世界ランキングでオランダが1位のものがあると私は母国のことのように誇らしい。

ミッフィー広場に着く。なにもない一角に薄っぺらいミッフィー像がポツリしていた。不思議な空間。

Nijntje pleintje

この街にも運河がある。
アムステルダムの運河と全然違う点は何て言えば伝わるかな。運河の脇に岸みたいのがあるんだよね。
これがなんかよい。

この岸みたいなところにレストランのテラス席も出る時も。

Nijntje Museum発見。本当に仮移転って感じで、テナントを間借りしてるって感じだ。よし時間が近づいたらまた来よう。

スニーカーは茶色や赤やこげ茶の石畳たちを何個も何個も踏んで、この街を巡る。

この街で忘れられない光景と出会う。
花屋にスキンヘッドでガタイもガッチリした男性。日本ならトラックの運ちゃんが似合うイカツい出で立ち。
花屋にそぐわない彼は、その太い両腕にごっそりとチューリップの束を何束も抱えてお会計をした。
そのミスマッチさがとても愛おしい。
心がじんわり温かくなる。
花を愛でる心は世界共通。そしてこの国ではミスマッチなどではなく、これが日常風景。
素敵なものを見てしまった。
検疫問題で持って帰れないけど滞在期間中だけでも私もお花買っちゃおうかな、と本気で悩む。

しかも花たちがはちゃめちゃに安い。
この国で初めて安いと思ったもの。

この国で忘れられない風景を聞かれたら、私はこの風景をあげる。
Zaanse Scans行きのバスの中で親子連れの降車を助けようとした人たちの光景も捨てがたいけど。

思えばこの光景が最後の一押しだった気がする。
私は電車を降りてこの街に着いてからずっと感じていた。
人工的なショッピングモールでさえも。
穏やかな運河も。
色覚が忙しいカラフルな花たちも。
活気のある人々も。
今日はオランダらしい薄曇り。
ときおり小雨も降るスカッとしない天気なのに。

なぜかとても肌に馴染む街だった。
あ、ここだ。と感じる不思議な感覚。

「ここが私のアナザースカイ!
オランダ、ユトレヒトです!」
を撮ろうと思ったけどやめた。

インスタ配信が増えてきて、どう伝えたら面白いと思ってもらえるかと考える思考になってしまっているな。
毎度おちゃらける必要もないか。
大事にギュッと抱きしめて胸にしまっておこう。

「忘れられない」じゃなくて「忘れたくない」光景。