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短編『何も気にならなくなる薬』その104

今日も調子がいいので書き続ける。
近頃、睡眠の質が上がったような気がする。
ただ単純に布団の中が暖かいだけかもしれないが。

「ペースメーカー」
「いじめっ子」
「訪問販売」 
「登場人物」
「イシャンゴの骨」

ペースメーカー?
心臓に電気的な刺激を送り脈拍を早くする機械。
心臓そのものではなく、あくまで補助。
ちなみに動物の心拍数は小さいほど早く、大きいほど遅い。
もし動物に必要とするなら、象に着けることがあるかもしれない。
云われてみれば人工呼吸の際には中々速いペースで心臓マッサージをしているのを思い出す。

イシャンゴの骨?
1960年にアフリカ・コンゴで発見された後期旧石器時代の骨角器。
とそのままコピペ。
そんなことを言われてもピンとこない。
ヒヒの腓骨に法則性のありそうな数字が並んでいるそうだ。

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「学校どうする?」
「うーん、休む」
ベッドの上で少しぐったりした少年はスケッチブックを眺めてはゆっくりとページをめくっていた。
「算数のドリルやった?」
「うん」
鉛筆削りの機械に鉛筆を差し込み数秒。
程よく尖った鉛筆の芯を眺めてからスケッチブックに数字を書いていく。
「ねぇ、もしかして学校にいじめっ子とかいるの?」
「ううん、そんなんじゃないよ。学校よりもこっちのほうが楽しいんだ」
「よくお話の中にはいろんな登場人物がいるでしょ?だからね、お母さんタケルにもいろんな人に出会ってほしいと思うんだけどな」 
「うーん、考えとく」

「病気する前はよく外で遊んでたのに」
「それはそうかもしれないが、タケルも自分の病気のことはよくわかってるはずだよ。走り回ったりできないことは医者の先生からも言われただろう」
「そうよね、私が勝手にタケルの幸せを決めつけてるのかもしれない。今はタケルのしたいことをさせてあげるべきなのかもしれない」
ピンポーン。
「なにかしら、はーい」
「すみません、今、お時間よろしいでしょうか」
「何でしょう」
「只今、訪問販売というわけではないのですが、この近くの博物館でキャンペーンをやっておりまして、ぜひ足を運んでいただきたくて、こちらにチラシを失礼します。お子様向けの物もありますので是非」
「あ、はい」
「何だったんだ」
「よくわからないけど、博物館の人?」
「わからないのか、しかし、こういうのに足を運ばせてもいいんじゃないか?ゆっくり見て回ることもできるだろうから」
「それもそうかもね、タケルのこと誘ってみるわ」 

「ねぇタケル?お母さん一緒にお出かけしたいとおもうんだけど、こういうのに興味はない?建物のなかでゆっくり出来ると思うんだけど」
「博物館?うん、行く」
「じゃあ、行きましょうか」

「タケル、何見てるの」
「これ」
「イシャンゴの骨?」
「うん、これに数字がいっぱい書いてあるんだ」
「なんの数字?」
「これは素数」
「素数?」
「2以上の数字で1とそれでしか割れない数字、えっと、例えば、7とか19とか」
「……本当だ。それがすごい昔にもあったってこと?」
「うん、でもね、もしかしたらこれって偶然書いてただけかもしれないんだって」
「そうなの?」
「例えばね、このスケッチブックがずっと先の未来で見つかって、すごく価値のあるものだってその時代の人が言ったら、博物館に並べられるかも」
「どこでどうなるかわからないのね」
「うん」
「でもそのスケッチブックは価値があると、お母さんは思うな」
「そう?」
「うん、もっと大人になって、そのときに見返したら、きっといい思い出になるよ」

美味しいご飯を食べます。