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短編『何も気にならなくなる薬』その84

クエスチョンマーク

中間

便利屋


「おじさんなんでも屋でしょ
、なんでも屋」
「正確には便利屋だ」
「じゃあ、勉強教えて」
「あぁ、いいよ、それで、何が知りたいんだ」
「対義語」
「対義語?」
「そう、対義語」
「対義語ってなんだ?」
「ほら、例えば正義の反対は悪とか」
「あぁ、反対の言葉か、それならわかるぞ、何が知りたいんだ?」
「じゃあさ、便利屋の反対は」
「不便屋だな」
「不便屋って何するの」
「あー、不便を売るんだな」「不便って売れるの」
「車を使ってる人に自転車を売ったら不便だろう」
「ときと場合によるんじゃないかな。じゃあさ、泣くの対義語は」
「泣くの反対は笑うだよ」
「怒るの反対は」
「悲しい」
「さみしいの反対は」
「うれしい」
「クエスチョンマークの反対は?」
「クエスチョンマークってのはハテナとか不思議のことだろう」
「うん、そう」
「ビックリマークだ」
「なんだか違う気がするけど。じゃあさ、中間の言葉」
「中間の言葉?」
「例えばシロクマとクマの間はパンダ」
「なるほどそれは面白い、他には」
「そうだなぁ。森と木の間は林」
「なるほど、本当だ。他には」
「人間と魚の間は人魚」
「他には」
「人間と馬はケンタウロスだ」
「違った感じのは」
「静岡と山梨」
「なんだそれは」
「富士山だよ。あーあ、結局こっちが教えてるじゃん。でも楽しかったからお代。やっぱりおじさんは便利屋の反対だね。」
「どういうことだ」
「だって僕の話を無知なふりして楽しく聞いてくれているんでしょう?
だから、不勉を売りにしてる」

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ちなみに「!」は

エクスクラメーションマーク


美味しいご飯を食べます。