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「砂金」「千振」「はばかり」

こんばんは、魚亭ペン太です。久々にね、三題噺をね、やろうと思うんです。

で、上がったのがタイトル通りのお題でして、お付き合いいただけたらと、思います。

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「あー、なにか儲け話がないものかね」

「金のない声がしたかとおもったら、熊の旦那じゃないですか。お噂はかねがね」

「いや、金がねぇ噂は勘弁してくれ」

「そうじゃないんで……そんな旦那にですね、いい儲け話を持ってきたんですよ」

「なんだい」

「えぇ、ちょいと川で水をすくうだけで儲かる簡単な話なんですよ」

「その口振りでいい話があった試しがないからなぁ」

「本当の儲け話は苦労するもんですよ。ほら、旦那もご存知だと思うんですけどね、砂金を集めるといい金になるんですよ」

「まぁ、聞いたことはあるが」

「それで、まだ誰も目をつけてない穴場があるんですよ。そこへ一番乗りできたら一番早く集められる。そういう話ですよ」

「なるほどね、わかった。お前の話を信じてみよう」

それから熊の奴は道具を一式揃えて砂金の取れる川へと向かい、話通りに砂金を集めていきますが、これがまぁ骨の折れることで。流石にくたびれたので今日のところは切り上げて、どうせ儲かるからと通りがかりの茶屋に腰を下ろしまして。

「よぉ、爺さん、ちょいと休ませてもらえるかな」

「あぁ、どうも、いらっしゃいませ。ささ、こちらへどうぞ」

「へぇ、いい茶屋だね。ほら、あそこに書いてあるやけに高い値段の『千振』ってのはなんだい」

「へぇ、ここの名物でして、大変苦いお茶なんですけどね。どんなに振っても苦味が取れない、そんなわけでして……」

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