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古今集 巻第五 秋歌下 312番

なが月のつごもりの日、大井にてよめる

つらゆき

夕月夜をぐらの山になく鹿のこゑのうちにや秋はくるらむ

長月九月の終わりの日に大井川のそばで詠んだ歌
紀貫之
夕暮の月夜に小暗い小倉の山で鳴く鹿の声がしている間に秋は暮れるのだろうか

 夕月夜(ゆふづくよ)は夕方の月で夜中に沈み朝方の暁には暗くなる月です。望月の少し前ぐらいの時期です。朝方が暗いので夕月夜は暁闇(あかときやみ)にかかる枕詞ですが、この歌の場合は、小暗い(こぐらい、おぐらい)に掛かって、その音から小倉山にかかっています。
 大井川は京都の渡月橋がかかる川、桂川。川の西が嵐山、東が小倉山です。

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