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古今集巻第十六 哀傷歌 849番

藤原たかつねの朝臣の身まかりての又の年の夏、ほととぎすのなきけるをききてよめる

つらゆき

ほととぎすけさなく声におどろけば君を別れし時にぞありける

藤原高経が亡くなった次の年の夏、郭公が鳴いたのを聞いて詠んだ歌
紀貫之
郭公が今朝鳴く声にはたと気が付いたら、君と別れたあの初夏の時期であった

藤原高経(ふじはらのたかつね)は、藤原長良の子、寛平5年(893)5月19日没。
「おどろく」は、現代のびっくりする意味もありますが、ここでは「はっと気がつく」ことです。「おどろく」が使われる有名な歌に「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」(秋が来たと目にははっきり見えないけれど、風がものを揺らす音で秋が来たのだとはっと気がついた)があります。
郭公(ほととぎす)は、あの世(山奥)とこの世(人里)を行き来する鳥だと言われているので、亡くなった高経を思い出したのでしょう。二人の関係はよくわかりませんが、和歌のつながりがあったかもしれません。おそらく貫之が20歳ほど若いようです。

#古今集 , #哀傷歌 , #紀貫之 , #藤原高経 , #郭公

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