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古今集 巻四 秋歌上 179、180番

なぬかの日の夜よめる

凡河内みつね

年ごとにあふとはすれど七夕のぬるよのかずぞすくなかりける

織女(たなばた)にかしつる糸のうちはへて年のをながくこひやわたらむ

七日の日のよるに詠んだ歌
凡河内躬恒
年ごとに逢うと決めはしたけれど七夕の日に共に寝る夜の数はなんとも少ないものだ
織女に供えた糸が長く伸びているのと同じように、何年も緒のように長く恋続けていくのだろう

 毎年会うとは言っても一緒に寝るのはすごく少ない、だからこそ何百年、何千年とこの恋は続くのだろう、というのは、躬恒のまわりの現実とはあまりにもかけ離れていることを詠っています。 
 七夕という言葉は、織女その人を指すこともあるので、織女と書いて「たなばた」と読むようです。もとは「棚機」という機織り機のこと。機織りの女という「棚機つ女(たなばたつめ)」も古典にはよく出てきます。
 「織女にかしつる糸」は、女性が織物や衣服についての願いを込めて七夕の時に糸をお供えし、その後その糸で何かを縫うので「貸す」と言っているのかと思います。
 題のところで、「七日」のことを「なぬか」と読んでいます。いまでも京都の人は「なのか」ではなく「なぬか」と言う人がいるように思います。

#古今集 , #秋 , #七夕 , #織女 , #凡河内躬恒

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