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古今集巻第十七 雑歌上 919番

法皇西河におはしましたりける日、つる洲にたてりといふことを題にて、よませたまひける
つらゆき
あしたづのたてる川辺を吹く風によせてかへらぬ波かとぞ見る

法皇西河におはしましたりける日、鶴洲に立てりと言ふことを題にて、詠ませ給ひける
貫之
葦田鶴の立てる川辺を吹く風に寄せて返らぬ波かとぞ見る

宇多法皇が西河に行幸なさった日に、鶴が洲に立っていると言うことを題にして、お詠ませになった歌
紀貫之
葦の中で鶴が立っている川辺を見ると、吹く風で寄せて、返って来ない波かと見える

意味がよくわかりません。川辺に舞い降りた鶴が羽を羽ばたかせることを波と喩えているのかもしれません。
「西河」は、西川、京都の西にある川、つまり大堰川(大井川)、桂川のことです。
宇多上皇の大堰川行幸は、延喜七年(907)九月十日か十一日だそうです。古今集は延喜五年(905)に醍醐天皇に奏上されているのですが、その後も追加や修正が行われていたらしいことが、これでわかります。

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