マガジンのカバー画像

読まず嫌いが世界〈文學〉を読んでみた

183
『読まず嫌い。』(角川書店)の増補「解体」版。 筋金入りの読まず嫌いが体を張って世界の〈文學〉と、それを読むための「補助線」になってくれる本を読みます。 有料マガジン「文学理論ノ… もっと読む
書籍『読まず嫌い。』の本体価格と同価格(一括)で、同書の内容を再構成したもの+〈文學〉についての有… もっと詳しく
¥1,700
運営しているクリエイター

2021年9月の記事一覧

岩波少年文庫を全部読む。(53)メアリー・ポピンズは風の又三郎か? パミラ・リンドン・トラヴァーズ『帰ってきたメアリー・ポピンズ』

この作品は、全部で8冊あるとされているメアリー・ポピンズものの2冊目です。 筆に脂が乗っている 最初の4冊が岩波少年文庫で出ています。 そしてそのうち最初の3冊が、できごとの作中時間順の並びになっているということになります。 本書『帰ってきたメアリー・ポピンズ』(1935。林容吉訳、岩波少年文庫)は、1作目『風にのってきたメアリー・ポピンズ』(1934。同前)が出た翌年に早くも出てます。 そして、前作よりもだいぶ分量も多いんですね。 むかしふうの言いかたをすれば、「筆に

有料
100

岩波少年文庫を全部読む。(52)これは文学ではなく、お祭りか神事のようなもの パミラ・リンドン・トラヴァーズ『風にのってきたメアリー・ポピンズ』

パミラ・リンドン・トラヴァーズが1934年に書いた『風にのってきたメアリー・ポピンズ』(林容吉訳、岩波少年文庫)は、ジュリー・アンドリューズ主演のディズニー映画(1964)であまりにも有名です。 作者がどういう人であるか、このシリーズ(数えかたにもよりますが、全8作)がどういう構成になっているか、ヴィジュアルを決定した挿画を描いたのはどういう人なのか、こういったことすべては、次次回で第3部の話をするときにとっておきましょう。 映画はだいぶ原作と違っているようですね 時代設

有料
100

岩波少年文庫を全部読む。(51)反応に困るんだけど、これは作者のファンクラブ会報なのか? エレイン・ローブル・カニグズバーグ『ティーパーティーの謎』

いろんな意味で反応に困る作品 E・L・カニグズバーグは、デビュー30年目で、デビュー作と同じニューベリー賞という児童文学の大きな賞を受賞しました。『ティーパーティーの謎』(1996。金原瑞人+小島希里訳、岩波少年文庫)がその作品です。 前回の『クローディアの秘密』(1967。松永ふみ子訳、岩波少年文庫)という非常に名高い作品を書いてから、30年目のことです。 『ティーパーティーの謎』は、いろんな意味で反応に困る作品であるということが言えますね。 クイズ大会で友情・努力・

有料
100

岩波少年文庫を全部読む。(50)一歩一歩綿密に、すごく遠いところに読者を連れていく エレイン・ローブル・カニグズバーグ『クローディアの秘密』

読むのが気が重かった E・L・カニグズバーグの『クローディアの秘密』(1967。松永ふみ子訳、岩波少年文庫)について、いろいろと評判をずっと聞いてました。 しかし読むのが気が重かったんです。 というのも僕は、あの米国のいわゆるヤングアダルトと呼ばれる分野があまり得意ではないのです。いろんな意味でつらい。読んでいてつらいことがあるからなんです。 しかし、そうは言っても「岩波少年文庫を全部読む。」という連載を始めた以上、これを避けて通るわけにいきません。 で、読んでみてた

有料
100

岩波少年文庫を全部読む。(49)もし松本さんのソロと稲葉さんのソロしか聴いてなかった人がいたら、その人が初めてB'zを聴いたときどう思うだろうか クレメンス・ブレンターノ+アヒム・フォン・アルニム編『少年の魔法の角笛 ドイツのわらべうた』

この記事はマガジンを購入した人だけが読めます