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岩波少年文庫を全部読む。(51)反応に困るんだけど、これは作者のファンクラブ会報なのか? エレイン・ローブル・カニグズバーグ『ティーパーティーの謎』

いろんな意味で反応に困る作品

E・L・カニグズバーグは、デビュー30年目で、デビュー作と同じニューベリー賞という児童文学の大きな賞を受賞しました。『ティーパーティーの謎』(1996。金原瑞人+小島希里訳、岩波少年文庫)がその作品です。

前回『クローディアの秘密』(1967。松永ふみ子訳、岩波少年文庫)という非常に名高い作品を書いてから、30年目のことです。

『ティーパーティーの謎』は、いろんな意味で反応に困る作品であるということが言えますね。

クイズ大会で友情・努力・勝利

これ、どういう話かというとですね。
6年生(日本でいう中学1年生くらい)の頭のいい子たちがいまして、この子たちは同じエピファニー中学校に通ってるんです。この4人組が学校の先生のサポートを受けて、地元の郡(カウンティ)主催の、〈博学大会〉という知識を競う大会、まあクイズ大会ですね、そこに出場します。
それで頑張って、友情・努力・勝利的なフォーマットで話が進みます。

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