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チノアソビ大全

Podcast「チノアソビ」では語れなかったことをつらつらと。リベラル・アーツを中心に置くことを意識しつつも、政治・経済・その他時事ニュースも交えながら林田(専門:総務省地域力創…
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2023年8月の記事一覧

存在の構造 篇

 生と死は表裏一体の概念であるのに、人は、何故、死の方ばかりを怖れるのだろうか。  意外にも日常では忘れ去られがちな真実であるが、その昔、何億という子種の中から、奇跡的に母親の胎内において着床し、アメーバのようなものになり、やがて人として形成されていったのが、ぼくであり、あなたである。  この何億の子種の中で、他のどの種でもなく、まさにこの「ぼく」となる種が残ったからこそ、今、ぼくがこの世に存在しているわけである。  奇跡ッ、と叫びたいところだけれど、このとき、ぼくがも

「鈴木敏夫とジブリ展」に行ってきた:編集の力篇

つい昨日、チノアソビを聞いてくださっている北九州は小倉にあるCafe Causa(カウサ)の遠矢さんのところにお邪魔してきた。 このチノアソビ大全も購読してくださっている奇特な方のお一人で、Causaは北九州のおもしろい人が集まる場所として、もう店の外にまでその香りがぷんぷん漂っている。 いつも前触れなしに店に顔を出すのだが、毎回何かしらのびっくりすることが起きるお店なのである。 いつぞやは、黒田征太郎さんがカウンターで飲まれていた。 そして昨日は、19時からウーマンラッ

奇説 今昔物語集 vol.007 -橘家の剛勇-篇

 随分と間が開いてしまいましたが、今回は「奇説 今昔物語集」の続編。今回の主人公は、清少納言の夫としても知られる橘 則光。学問の家である橘氏に突如現れた豪傑と、その荒々しい物語をご堪能ください。 1.橘氏の起こり 今は昔、陸奥前司 橘 則光 という人がいた。  橘氏は飛鳥時代に葛城王(かつらぎおう)が臣籍降下して橘 諸兄(もろえ)となったのを祖としている。厳密にいうと、この橘 諸兄の母である県犬養 三千代(あがたのいぬかいのみちよ)が敏達天皇の流れを組む美努王に嫁ぎ、諸兄

お客様は神様か∶営業篇

何の前置きもなくて恐縮だが、後藤は長年 「世の中には営業する人と営業しない人の2つの種類の人がいる」 と思って生きてきた。 「営業なんかになって」のカウンターパンチその昔、「広告の事ども」でもしゃべったが、後藤はサラリーマン時代、営業職以外にまわしてもらえない人間だった。 新卒でリクルートに入社した際、 「国立大学の大学院まで行かせたのに、なんで営業なんか…」 と親に言われた。 ここまでくるとブレなさすぎてハラショーなカウンターパンチなのであるが、とまれこうまれ、「リクル

現在と現代の相克 後篇

 明治維新後、日本の資本主義は歪んだ。  歪んだというよりも、資本主義が18世紀中頃のイギリスで生まれたものだと定義するならば、19世紀の半ばを迎えた日本で、それが「正しく生まれなかった」という方が意味が通るかもしれない。  欧米列強を真似たまではよかったが、彼らの思想のうち帝国主義の部分のみを取り入れたのが、1867年から1945年までの日本のかたちではないか。  作家の司馬 遼太郎は、その代表作『坂の上の雲』で、明治政府の到達した最高点を描ききった。坂の下でモガいて

現在と現代の相克 前篇

 資本主義と非資本主義の間にある葛藤。  現在と現代の相克。  いってみれば次代の基本理念となるものについて考えるとき、政治的に、経済学的に、そして哲学的にも大いなる啓示を与えてくれるもの。ぼくにとってのそれは、いつもヨーゼフ・アロイス・シュムペーターの理論であった。

マイノリティとは自認であって他認ではない:後藤の場合篇

中学生の時分、父親と初めてけんかをした。 それまでにも、学校の宿題で作文や絵の提出があると、ことごとくダメ出しをされるので 「今日宿題に作文があるっちお父さんに言わんで」 と母に頼んでいたレベルの小競り合いは多々あったのだが、このときは明らかに「怒られる」ではなく「けんか」だと自覚した瞬間だった。 (余談だが、父が修正を入れると作文は各段に良くなったし、絵も筋が見えて見違えた。そしてそうした提出物がことごとく何かの賞を受賞するので、娘はますます父に見せるのが嫌になった。その結

「おせっかい」は悪なのか:処方箋篇

これまでの人生、「おせっかい」という病をもって仕事をしてきた自覚があるのだが、最近、仕事以外のすべての行為が「余計なお世話」と言われているように感じてならない。ので、考えてみた。 確かに、よかれと思ってやったことが、本人のためにならないばかりか迷惑であることもあるだろう。 しかし正直なところ、私のおせっかいが発動しなければ、大変なことになったのではないかと思われる場面も多々あるし、「誰も気付いてくれなかったのに気付いてくれてありがとう」と泣かれることだってあるのだ。 (ここ

喫煙事情に関する一考察 篇

 最近、本当に、禁煙者目線の意見ばかりで、あまり喫煙者の意見を聞くことがありません。そこで、オレ(今日はロックにいくぜ!)は全国の喫煙者諸君を代表して、ちょっと煙草を吸うことについて、割と暴力的に意見したいと思うのです。(半分ジョークで書いているので、禁煙者の人、怒らないでね。怒らない自信がない人は、ここで読むのを止めてくださいw)。 -------------------------------------------