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コミュニティマネジャーに必要なスキルは"戦略設計"にあり The Community Round Tableより

どもども。青木です。

今年もThe Community Roundtableのアニュアルレポートが発行されました。
たくさんのページを使って「コミュニティの戦略を作れよ!」と書いてありました。最近青木が色んなコミュニティを見ていても思うことでもあるので、私の考えを交えながら紹介していこうと思います。

1. そもそも戦略はなぜ必要なのか?

コミュニティは計画も戦略も立てづらいと言われています。集まったメンバーによってやることの中身が変わったり、期限を設定してもよくズレたりするからです(※1)。でもだからといってそういったプランを作らない理由にはなりません。なぜなら。

コミュニティ形成の戦略がないとあなたの仕事ぶりが評価されないからです。
コミュニティの責任者であればぜひ作りましょう。責任者じゃなければ他の責任者の人に戦略ちゃんと作れ!って言った方がいいです。

逆にコミュニティ形成の戦略があることによって、戦略策定自体は他のコミュニティを立ち上げる時にも役に立ちますし、"こういう施策を打っていくことでメンバーのエンゲージメントをこれだけ上げました"みたいな話ができるようになるわけです。そうすると昇給も見えてきますしね。私としてはコミュニティマネジャー(ここではコミュニティ運営の責任者でありコミュニティ成長の計画を作る人)がきちんと評価されることでもっとプロフェッショナリズムを持った仕事、ごくわかりやすいところでいくと成果が報酬に反映されるようになると良いと考えています。コミュニティマネジャーは「なんとなく人当たりの良い人」で終わってはいけない職種です。

2. 多くのコミュニティでは戦略が存在しないか希薄

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こちらはコミュニティの戦略についてのアンケート調査です。なんときちんと組織から承認されて、具体的な行動計画に落ち、計測可能なレベルのコミュニティは全体の22%しかありません(ちなみに去年は17%でした)。

50%弱のコミュニティは特段計画もなくなぁなぁでやっているという調査結果です。これは後々大きな問題を引き起こします。

それはボスとコミュニティマネジャーの溝です。ここでいう”ボス"は経営目線でコミュニティを担当している人を指します。社長であったり、オーナーであったり、担当役員、部長であったりと役職は様々です。ちなみにリーダーとボスの違い、みたいな話とは無関係です。また、コミュニティマネジャーはコミュニティ運営の責任者を指しています。

コミュニティの戦略を持っていないコミュニティは上述した理由(※1)でボスが戦略がないことを承知している場合があります。しかし経営者として、または自身の上司から"コミュニティは果たしてうまくいっているのか?"という問いに納得のいく回答がどこかのタイミングで必ず必要になります。

そんな時、運営責任者であるコミュニティマネジャーに同じ問いをするわけですが、そこに戦略が存在していなければ振り返るものもありません。マネジャーからは「頑張っています」という類の回答が返ってくるわけです。

コミュニティへの"投資"では数字(お金)が動いているのに、コミュニティからは何の成果もあがってこないという状況が生まれます。戦略が検討されておらず、何を成果と定義するかが曖昧なので当然です。

ここにボスとコミュニティマネジャーの溝が存在します。まず「このコミュニティマネジャーは何の仕事をしているのか?」という成果を訊かれている質問に過程で答えざるを得ない状況が発生するのです。

そうなってくると評価そのものができない、評価ができないので他に良さそうな人に取って代わられてしまう、コミュニティのオーナー側からするととっかえひっかえマネジャーが変わるという負の連鎖へと続いていきます。

なのでコミュニティの戦略を作ることはそもそもコミュニティマネジャー自身が気持ちよく働くためにも非常に重要なのです。

3. 戦略設計をすると費用対効果(ROI)がよくなる

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The Community Roundtableの本文ではコミュニティの戦略を設計すると随所で費用対効果が増すと言及されています。上記ではInternal Communityにおいて、平均的なコミュニティと戦略のあるコミュニティでは実に2倍近いROIの差があることがわかります。ここのAdvancedは上述したグラフで出てくる、先進的な戦略を持つコミュニティを指します。

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先進的なコミュニティでは平均的なコミュニティと比べてアクティブなメンバーの人数や、活動量の多さ、訪問者、質問に対する反応やネットプロモータースコアが高いことが報告されています。本文中ではこれらがきちんと報告されることによって上層部を巻き込み、より踏みこんだコミュニティ戦略を構築できる可能性があるとしています。

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このグラフはとてもおもしろいのです。先進的なコミュニティでは利用者が自分は見られている、(生活音や話し声を)聞かれている、と感じる人が多いことです。特に挨拶や会話をせずともコミュニケーションが成立していることの示唆と考えられます。

と、いったような様々なデータがグラフと共に掲載されていて見応えがあります。冒頭のリンク先からアクセスできるので気になった方はぜひ見てみてください。

その他にコメントを紹介したいと思います。

コミュニティの管理を放棄してメンバーが好き勝手振る舞う状況はネガティブな影響をもたらします。コミュニティはカオスに陥り、ブランドにダメージを与え、そのような状況が外部に露呈してしまいます。リーダーシップなく放置されたままのオンラインコミュニティはすぐに自己宣伝や対立の場となり、結果的に退屈、あるいは不安を煽るようなものになりかねません。適切な育成とファシリテートを行うことでコミュニティに何も発生しないことや様々なことが起こりすぎるという2つのリスクを減らすことができます。コミュニティマネジャーの存在はメンバーからの価値ある貢献を推奨するという点や、逆に悪質な行動を軽減するという点、節度を求める機会の減少という点で非常に効果的で、組織を頭痛の種や不要な継続的費用から守ってくれます。
先進的なエクスターナル・コミュニティの運営チームでは人的投資が71%増なのに対し、平均的なコミュニティでは42%の増加にとどまっています。チームの規模の大きさは、経営陣からその必要性がより理解・評価され、コミュニティチームがサポートを受けていることを示しています。
先進的なコミュニティでは、平均的なコミュニティに比べてアクティブなメンバーが大きく増加しています。アクティブなメンバーはメンバー同士の活動を通して互いにメリットをもたらし合っています。そういったアクティブなメンバーの割合が3倍以上なのが先進的コミュニティです。コミュニティ運営に対して投資をすることは単にお金を支払うという行為ではなく、メンバーそれぞれの価値を高め、好循環を繰り返していくことそのものなのです。

ということで今回はコミュニティの戦略設計の必要性を、米国コミュニティレポート、The Community Roundtableを引き合いに出してご説明しました。

このようにコミュニティマネジャーという仕事はものすごいポテンシャルを持った仕事なのです。こんな素晴らしい仕事が適切に評価できないことが残念でならないと思っています。

ということで最後まで読んでいただきありがとうございました!
次回はもう少し踏みこんで、コミュニティマネジャーの成果指標について書いていきます。

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