コミュニティ運営体制の機能不全とそのサイン
どもども。青木です。
いつもはコミュニティマネージャーに焦点をあてていますが、今回はインキュベーションスペースにおけるコミュニティ(Internal Community)の運営体制についてです。
※Internal Communityとは何か、ということについては下記の記事を御覧ください。
さて、インキュベーションスペースのInternal Communityを運営していくにあたって、運営には大きく三者、コミュニティスタッフ、コミュニティマネージャー、コミュニティディレクター(上記記事の中のGeneral,External Community Managerを兼務する役職)が関わっています。
前段のお話
まずは三者間の役割整理。
コミュニティディレクター:
ワークスペースを中心としたコミュニティの成果を定義し、事業の方向性と照らし合わせた戦略構築を行う。コミュニティマネージャーからのコミュニティ運営情報に従ってコミュニティメンバーの役に立つ資源を獲得・供給する。
・インキュベーションプログラム運営の仕事を獲得するために施設のマッチング数、相談された回数を取得する
・施設の利用者に対してオプションを販売するために何に困っているかのニーズ情報を取得する
コミュニティマネージャー:
コミュニティディレクターから供給された資源をメンバーに供給する。コミュニティマネージャーが設定した戦略に則って運営体制を敷く。
・マッチングや課題のヒアリングを行う
・運営に対する利用者からのフィードバックを得る
・コミュニティスタッフのための施設運営のマニュアルを設計する
コミュニティスタッフ:
コミュニティマネージャーが設計したマニュアルに則って運営業務に従事する
本題
さて、コミュニティ運営の理想的体制はこんな感じです。
まぁここはサクサクと。
機能不全が発生するのは役職間のコミュニケーションで、サインはそれぞれの役職者が意図せず出してくれます。それぞれどんなコミュニケーションがなされていて、どんなサインがあるか見ていきましょう。
①コミュニティディレクター↔コミュニティマネージャー間で起こる機能不全
まずはコミュニティディレクター側から戦略共有がなく、コミュニティマネージャーに資源が供給されないケースです。そもそも戦略が不在の場合もあります。ディレクターの力が強すぎるスペースで起こりがちです。
・メンバーの属性と関係のないプロジェクトばかりが実施される
・様々なプロジェクトが入り乱れてテーマが定まらない
・ディレクターにマネージャーが振り回されている感
こういったことが起きていると要注意です。
戦略の構築・共有、戦略に基づいたコミュニティ運営をすることで改善できます。
②コミュニティマネージャー↔コミュニティスタッフ間
このケースはコミュニティディレクターとコミュニティマネージャーのコミュニケーションは取れているものの、現場スタッフとのコミュニケーションがうまくいっていないケースです。この問題、実はコミュニティ形成がある程度うまくいっているスペースで起こりがちです。
というのも、うまくいっているスペースでは外部との共同プロジェクトでディレクターのみならず、マネージャーもスペースを不在にしがちです。そうするとコミュニティマネージャーとコミュニティスタッフとの間でコミュニティ形成に関する認識のズレが発生します。こういった場合のサインは次のようになります。
・コミュニティマネージャーがスペースを不在にしがちでレアキャラになっている
・コミュニティマネージャーよりコミュニティスタッフのほうがメンバーについて詳しい
・コミュニティマネージャーがコミュニティスタッフに対して施策の必要性が伝えられていない
こうなると現場スタッフの発言力が強くなり、必要な施策への反発が起こることがあります。なぜならコミュニティスタッフの目に見える範囲ではうまくいっており、うまくやっているからです。
①、②両方がうまくいっていない場合
このケース、実は大手で複数の拠点があるようなペース特有の症状です。組織が大きすぎてディレクター、マネージャー、スタッフの距離感が離れてしまうために起きます。そういったスペースではディレクターの顔も見たことのないマネージャーやスタッフがいることもあります。コミュニティメンバーと一番接する時間が長い、コミュニティスタッフがコミュニティ戦略を理解せずに運営に従事しているのです。
こういったスペースのサインは
・コミュニティスタッフに対して"何のためにコミュニティを重視しているのか?"と訊くと個人的なこだわりや信念しか回答できない。(組織として何を目指しているかが伝わっていない)
・コミュニティマネージャーがキャリアに悩んでいる
・スペース全体としてはイケてる雰囲気がある
というものです。こういった組織ではディレクターが描く戦略(ないことはまずない)の共有、適切な成果目標を設定することで改善していきます。
さて、今回はコミュニティ運営の体制が機能不全に陥る状況とそのサインについて紹介してみました。
組織体制を整えるならコロナが猛威を振るってあまり外に出られない今のうちです。ディレクターが外回りで捕まらない日々がまたすぐに到来するでしょう。
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