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「コミュニティマネージャーがいないと居心地が悪くなる」のメカニズム

どもども。青木です。

今回はコミュニティマネージャーの役割の一つ、“利用者にとって居心地の良い空間を作る”ということについて解説していきます。

ドロップインではなく日常的に活用するスペースのお話し。
「おや、知らない人がいる…」というシチュエーションはよくあります。
それを放置しておくと
「いつもいるあの人はどんな人だろう?挨拶するタイミングを逃してしまったから声かけづらいな…」
なんてヤキモキしてしまうことはありませんか?
こういった課題をコミュニティマネージャーがランチ会やイベントを通してちゃんと繋がる機会を提供してくれたり、「あれ、ここもしかして繋がってないですか…?」とかって気を回して紹介してくれたりするもんです(本当にありがたい)。

アメリカの社会学者、アーヴィング・ゴッフマンは「人は、知らない人に対して基本的に無関心を装う」という説を提唱しています(儀礼的無関心)。

E.ゴッフマンA

具体的には相手をあからさまにジロジロ見たり、無視したりすることが無礼な振る舞いであると特定の社会で認識されていることを指摘しています。

電車の中でみなさん何をしていますか?スマホをいじったり広告を読んだりする方が多いと思いますが、これはジョブ理論的にいうと「私は今スマホをいじっている」「広告を読んでいる」という行動を示すことで周囲に対して「私はあなたに関心を向けない理由がある」という姿勢を表明しているのです。ですので電車の中で皆が何をしてきたか、というのを紐解いてみると面白いですよ。スマホの前は皆が新聞や本を読んでいたとのことです。

ダウンロード (4)

※画像はカラパイアさんより。

さて、このお話しをもっと簡単に動物で例えましょう。

野良猫と遊んだことはありますか?
野良猫は知らない人とじっと目を合わせるのをとても嫌がります。目を合わせようとするとプイッとそっぽを向いてしまう。

これはどういう意味かというと目を合わせる、という行為が猫にとって親密な人との間では愛情表現。見ず知らずの相手ではケンカの合図だからです。猫ちゃんは「お前とケンカする気はないぜ」という気持ちを込めてそっぽを向いているといわれています。

最近はあまり耳にしなくなりましたが、人間でも目があっただけで“ガンを垂れる”、“因縁をつける”、なんて言いますよね。人間も一緒なんですね。

しかしここで問題が出てきます。
その今まで知らなかった人は自分のホームである、いつも仕事をするスペースにいるのです。最初に述べたように「挨拶するタイミングのがした…」となるわけです。そう思わせるのは“相手の正体を判明させること”と“自分が怪しい人間ではないということを示したい”という欲求です。だから『どう自分が怪しくなく、声をかけられるか』がポイントになります。ここで声をかける言い訳を作るのがコミュニティマネージャーの仕事、というわけですね。このコミュニティマネージャーの役割がないと、いつまで経っても声をかけるタイミングも理由もなく、弧ワーキング化は進み、ホームにならないので定着しない、という仕組みです。

ちなみに(半ば都市伝説的に)アメリカ人が知らない人を見つけると「Hey, what are you doing?」って感じに声をかけると言われている背景には、米国の成り立ちとして移民だらけで知らない人ばっかりの環境で迅速に"自分は怪しい人間じゃないけどお前もだよな?”という確認の意味が込められているという説があります。

人が”ここはホームである”と感じるためには自分が多くの人に認められている、少なくともアウェーでない環境を作ることが大切です。そのまず大切な一歩がスペース内で自分がどんな人間であるかを認知してもらい、ヨッ友(遊んだりいつもつるんだりするわけではないけど見かけたら挨拶するくらいの関係)化を進めていくことです。「新しい入居者が来たらとりあえず他の利用者を紹介しておく」という施策を行っているスペースもありますがこれは新しい利用者にとって、まだ慣れていないスペースをホーム化するという施策というわけですね。

今日はここまで。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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