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コミュニティマネージャーが備えておきたい"まぁまぁ力"

どもども。青木です。

私は「コミュニティマネージャーの適正ってなんですか?」と言われるとだいたいこの力を挙げています。ところが今noteを棚卸ししてみると、"まぁまぁ力"の言及がない!!ということでちゃんと記事にします。

"まぁまぁ力"とは

まぁまぁ力、というのは色んな物事や人の間に立って、お互いの落としどころを「まぁまぁ」と言いながら見つけてあげる力です。ググっても出てこなかったのできっと青木が作った言葉です。えっへん。

まぁまぁ力の本質は"相手の立ち場を複数の視座・視点から検討し、妥協点を探し出す"力です。

例えば、一つ「静かにして欲しい」という願いを達成するために相手とコミュニケーションを取る際、下記のような候補を挙げてみましょう。

「すみません、静かにしてもらえますか」→相手にダイレクトに伝える
「他の人の迷惑となりますので…」→相手の羞恥心や善性に訴える
「静かにするべきです」→相手に自身の価値観をぶつける
「静かにしろと書いてあります」→ルールをぶつけ、規範を守ることを求める

など、同じ静かにして欲しい、という話を伝えるにしても様々な角度があるのです。

to Bのコミュニケーションをやったことがある方ならわかるかもしれませんが、コストを下げたい経営者、仕事を増やしたくない担当者、立場上OKといえない責任者、など様々な立場の人たちがいます。話を前に進めるために"まぁまぁ"と間に入って妥協点を探す人を見たことがないでしょうか?その妥協点は最適解ではないのですが、皆がなんとなく納得できることです。喧嘩両成敗ってとても雑な言葉がありますよね。本当はどちらが悪いのかを明確にし、どちらが悪いのかを明確にし罪を裁かなければなりません。しかしそこまで物事を大きくする前に解決できた方が互いに時間も労力もかけず関係修復に向かえるのです。

徳川家康の知恵袋・本多正信の"まぁまぁ力"

あまり知名度は高くないのですが、本多正信という、徳川家康の側近がおりました。本多正信は関ヶ原の戦いの戦後処理で活躍します。関ヶ原の戦いでは西軍に勝利しましたが、西軍武将はその後家臣として統治するビジョンが徳川家康にはありました。その中で石田三成の息子を助命する、加藤嘉明から加増が少ない、という直談判があれば「豊臣恩顧の大名が裏切って加増されたとあれば、また報酬で裏切られるのではと思われますぞ」と伝えて自分が汚れ役になり、不満を受け止めました。

下記のエピソードもユニークです。
家康よりも怒ることによって家康に"まぁまぁ"と言わせるています。

あるとき家康が近習達を罵っていた。そこに現われた正信が「何に腹を立てておられるのですか?」と訊ねた。家康は口から唾を飛ばしながら答え、正信は「誠に上様の仰る通り。お前達は何と馬鹿げたことをしでかしたのか!」と家康以上に怒りを見せて怒鳴りつけた。近習らは家康第一の信任を受けている正信だけに逆らうことができず萎縮し、家康も正信の怒りに呆気に取られて苦笑した。それを見た正信は「お前達は、上様の腹の虫の居所が悪くて叱られたと思ってはならぬ。お前達を大事に思われるからこその御教訓なのだ。1人前の人間として召し使ってやろうとのお心から、言わないでもいいことを仰られたのだ。上様はお前らの祖父や父の武功や忠義の事を決してお忘れではない。だからお前達も1度、上様の御機嫌を損じたからと御前を遠慮するではないぞ。ところで、上様はお怒りで大声を出されたので喉が渇いておいでだ。お茶を差し上げよ」と取り成した。そして座が落ち着くと「お前達、今日からますますご奉公に励め。少しも気落ちすることは無い。上様もそのように思っておられる」と宥めて家康の怒りを解いたという(真田増誉の『明良洪範』)[5]。

大阪城の内堀を埋めさせたのも本多正信の策略です。大阪城方の抗議を聞いても家康が風邪をひいた、今度は自分が風邪をひいたとのらりくらり。工事の責任者は「家康様がやれと言った」と。責任者を切ればそのまま戦です。結局大阪城は内堀まで埋められてしまいました。

これもまぁまぁ力のなせる技です。


コミュニティマネージャーに必要な”まぁまぁ力”

コミュニティマネージャーにはこの"まぁまぁ力"が必要です。なぜかというと、コミュニティマネージャーは現場の責任者として自分の組織内で上司や部下とのバランスを取ること、また利用者間のトラブルが発生した際、中立の(またはスペースの方針に則った)立場で解決に向かわねばなりません。

利用規約に照らせばNGなことでも注意して見逃したり、マニュアルにないアクシデントが発生したときに必要な臨機応変さを発揮したり。様々な関係者の色んな立場を考えて、最適な"言い訳"を思いつく力はとても大切です。

この様々な関係者の立場を多面的に考えながら、最適な落としどころを見つけること。こういったことが少なくとも嫌ではない、というのがコミュニティマネージャーの適正の一つだと考えています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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