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Moshi MonsterからCalmへ 〜Michael Acton Smithの軌跡〜 (前半)

マインドフルネスアプリ業界の帝王と称されるCalm。

設立メンバーであり会長のMichael Acton Smithさんの回顧録を紹介します。

前の僕はMr ストレスだった、今の僕はMr Calmだよ

瞑想やマインドフルネスについては知っていたよ。
だけど試したことはなかった、忙しかったしね。

僕はMind CandyのCEOだったんだ。
Moshi Monstersを作った。
8000万人のユーザーがいて、さらに増え続けていたんだ。

その頃に、
友人のAlex Tewが立ち上げた
calm.com.にも僕は加わった。

彼は2005年に“1億円のホームページ”を作った男さ。

そしてその数ヶ月後に本当に1億円を稼いだんだ。
そんな彼は10代の頃から
マインドフルネスや瞑想がお気に入りだったみたい。

僕も興味が湧いたんだ。
あくまで見ている側の立場だったけどね。
だけど2014年の夏、
僕はターニングポイントを迎えた。

投資家や従業員の
期待に応えなきゃっていうプレッシャーで、
何ヶ月も眠れない夜が続いたんだ。

カフェに仕事にいったりもしたんだけど、
細々した問題が
次々にスマホに飛び込んできて、
そういうものへの対応や返信で
大きなプロジェクトに集中できなかった。

頭痛にも悩まされ始めたよ。
僕は常に疲れた状態で、それでも仕事をして。
仕事、すごく好きだったはずなんだけど。
それが輝きを失って行っていたね。

僕の頭は休息が必要だと感じた。
だから、休暇を取ったんだ。
オーストリアの山あいにある
静かなホテルに、一人。

仕事から解放されて、
僕自身の時間が取れたのは数年ぶりだったよ。

テニスをして、ランニングをして、
マインドフルネスについて読書をした。
正直、マインドフルネスは
ずっと敬遠していたかな。

ヒッピーのイメージがあったから。

だけど、ちゃんと学んでいくにつれて、
驚くほど多くの科学的根拠が
僕の疑念を払拭してくれた。

アメリカの超有名スポーツチームも
採り入れているし、
何よりマインドフルネスは
僕たちの頭の中を
全く新しいものにリフレッシュしてくれるような、
そういうエビデンスがどんどん出てきた。
というわけで、やってみたんだ。
だけど壁にぶち当たった。

瞑想を始めても
すぐに頭の中が
ごちゃごちゃしてきちゃうんだ。

この状況には、
多くの人が共感してくれると思う。

どうやったら
内なる自分と静かに対話できるんだろう?って。

試行錯誤していたら、
誰かがガイドしてくれたときは
上手く瞑想できるって分かったんだ。

そして、やればやるほど
僕の集中が強くなっていくのが分かった。
僕はすっかり元気を取り戻して
ロンドンに戻ったよ。

過剰なストレスが
どれほど人に負担をかけるのかも、
身をもって実感した。

だからこそ、
calm.com.は、
何億人もの人生を
変えることができると気づいたんだ。
Calmは、
マインドフルネス・瞑想のやり方を教える(ガイドする)
ウェブサイトとアプリさ。

現在は400万人のユーザーがいて、
毎日1万人ずつ増えてる。
それも口コミでね。

一番人気なのは、睡眠プログラム。
すごく人気だよ、
“1日10分、やってみよう”って、シンプルだからね。
僕自身はCalmを毎朝10分〜20分やってる。
気持ちが落ち着かないときでもね。
いや、むしろそういうときこそ、やるべきだ。


おかげで人間関係から考え方まで、
僕の人生はとてもよくなってるよ。

よく眠れるし、
集中できるし、
とても健康的になった。

そんなわけで振り返ると、
もしマインドフルネスをやっていたら、
起業したてのときの生活も、
もっと良かっただろうなって思うよ。
1998年に大学の友達(Tom Boardman)と
Firebox.comを立ち上げて、
おもちゃを売っていた。
僕らが治験で稼いだお金と母親から借金をしてね。

2004年、
新しい会社の立ち上げに、
10億の投資を得えられた。
Mind Candyさ。

初めてのプロジェクトは、
Perplex Cityというゲーム作りだった。

とてもクリエイティブなゲームだったよ。
ただしビジネス的には失敗だった、ははは。

そんなわけで、ビジネス再建のために、
早急にヒット商品を開発する必要があったんだ。

次のアイデアは
ラフスケッチからスタートだったね・・・
Moshi Monsters。
何度も資金が尽きかけたよ。
ストレスはすごかった。
だけど、子供たちはそのコンセプトが大好きだった。

僕は常に、
僕たちのサイトで
遊んでくれる子供たちへの
責任感が強くあった


だから、
最大でも10分間しか遊べないように
デザインしたんだ。

ログインして、
自分のモンスターを確認して、ちょっとの間遊ぶ。
教育的なパズルもあった。
その世界(観)ではとても重要な要素なんだ。

子供たちは互いに
おしゃべりすることもできた。
色々作り込んだけど、
オンライン上で起こることは
全てに最新の注意を払ってた。

子供たちに
オンライン上での振る舞い方を教えることにも、
僕たちは多くの時間を使った。

要は、
他の人に親切にすれば、
自分も親切にしてもらえるよ

っていうメッセージだね。

それを
ゲームの随所に組み込んで、
面白おかしく伝える
ように努力した。

これからもっと広い、
FacebookやInstagramみたいな
ソーシャルネットワークに入った時のための
練習という感じだったね。
ITベンチャーから
マインドフルネスの世界に行くことを、
変わっていると思う人もいるかもしれない。

だけど僕の考え方では、
テクノロジー自体は問題じゃないんだ。
それをどう使うかが問題なんだよ。

多くの人にとってはどうでもいいことかもしれないけど。
テクノロジーを我々がどう活かしたいかが大事なんだ。

僕の次のステップは、
子供向けの
マインドフルネス促進ストーリーを
創り上げること。

なぜなら、
今の子供たちは、
安らぎを感じる時間を
持っていないんじゃないかと
心配してる。


彼ら・彼女らは、
僕が小さかった頃には無かった刺激に
晒され続けている。

だから、
マインドフルネスは
子供たちの成長過程で大きな役割を
持つと思ってるんだ。
Calmを試用してくれた学校では、
子供たちの授業出席率が上がったり、
クラス内でのトラブルが減ったり、
テストの点数が良くなったりという報告を、
先生たちからたくさん聞いてるよ。

キャサリン妃(ケンブリッジ公爵夫人)も、
僕たちの活動をイギリスでサポートくださっている。

ちょうど、
僕たちのストーリーを
3歳と5歳の二人の姪に試してもらってるところなんだ。
数カ月以内には発表できると思うよ。

Moshiのイベントには、
僕はいつもMr Moshiの衣装で行っていた。
結構ぶっ飛んだキャラクターだったね(笑)。

今そういうイベントに出席するとなれば、
僕はMr Calmとして行くよ。

考察・分析は後半に続きます!

- By Michael Acton Smith(インタビュアー:JESSICA SALTER)
(原文:Moshi Monsters founder: 'I was Mr Stress, now I'm Mr Calm' https://www.telegraph.co.uk/health-fitness/mind/moshi-monsters-founder-i-was-mr-stress-now-im-mr-calm/

*Mind Candy:イギリス発のエンターテイメント企業。2004年にMichaelさんが設立、2007年よりMoshi Monstersのサービスを開始。

*Moshi Monsters:Michaelさんが創り上げ、Calm開発の土台となった、6~12歳の子供向けオンラインゲーム。世界で約150地域、8千万人以上のユーザーが登録。Monstro Cityと呼ばれる街でペットとして選んだモンスターでミッションに挑んでいくロールプレイングゲームであり、ネットリテラシーを身につけられるような学習要素も随所に散りばめられている。


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