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【自分を守る】お客様をお断りするとき【ラインを引く大切さ】

昔、こんなことがありました。
ある気丈で力もある鑑定士さんのところに、一人のお客様がいらっしゃいました。
そのお客様は過去にとても重たい経験をされていて、それについて長年たくさんの鑑定士さんにご相談されていたようです。
その方は、過去の話、誰に何をされた、その人は後悔してるか、反省してるかなど質問され、鑑定士さんはそれに丁寧にお答えになっていて、夕方過ぎに始まった鑑定は閉店まで続きました。

その後、そのお客様は毎日来店し、同じ鑑定士さんのところへ行き、何時間も何時間も同じ話をされるようになりました。
「今から別の方の予約が入ってるから」とお断りしても、次の方が終わるまで待って、また閉店まで同じ話をされるのです。

それからほどなくして、その鑑定士さんはお店を辞めていかれました。

それについて別の鑑定士さんは「ずっと同じことに答えてて毎日お金が入るらな楽じゃない」とおっしゃいました。
でも、きっとそんな楽なことではないと思います。
朝目覚めて出勤するときに「ああ、またあの人の話を何時間も聞くのか」と思う日々です。
けして明るい話でもなければ、発展性があったり解決したりもしない話です。

私はよく「あの場合、どこでどうしてればよかったんだろう」と考えます。


良かれと思って、が仇になることもある

私も色んなお客様に出会ってきた中で、物凄いストレスを受けた経験があります。
ある日、体に蕁麻疹のようなブツブツができることが増えて、だんだんひどくなってブツブツが繋がって大きな大陸みたいになるまで悪化したのですが、原因がわからずにいました。
しばらくして、そのブツブツはある方からのご相談を受けた後に出ることに気付きました。
その方からのご依頼をお断りしてから、一切出ていません。

また一時期、お金に困っていたり、お金を管理する能力が著しく欠けているタイプのお客様のお支払いは、特別に「今払える金額にだけ頂いて、残りはツケにする」という方法にしたことがありました。

いけないことですが、私としては「今この人は困ってるんだから、鑑定して安心させてあげないと」という思いでした。
しかし、そういう対応をした方とは全員とても後味の悪いお別れをすることになりました。
「この人には何をしてもいい」「何でも言うことを聞く」と思われてしまったのかもしれません。
「入るべきお給料が入らない状態で働く」という状態を作って、自分の価値を下げていたのでしょう。

この経験から「助けたいからと言って、なんでもはしちゃいけない」と学びました。

助けられない事の方が多い

鑑定士を目指す人やカウンセラーなど相談に乗る仕事をしたいと思う人は、人を助けたかったり、人の辛さに敏感で寄り添ってあげたいと思う人が多いと思います。
でも、結局「どうにかするのは本人」だし「それ以上は踏み込めないラインがある」ということにぶち当たるときが来ると思います。

特に占い師は医師ではないので、病気の範疇にある場合は手出しができないことが増えます。
普段の鑑定でも「根本的な解決方法は、病院に行くことだよ」というお悩みは頻繁にあります。
その場合、どこまで踏み込むのか、どこまで付き合うのかを見極めるのがとても大切だと感じています。

私の場合「あ、この人は危ないな」と思ったら、あんまり気に入られないようにすることもあります。
常連さんでも「あまりにも失礼だな」と思うことが続いたり「私の手に負えないほどバランスを崩してしまってるな」と思ったら、お断りすることもあります。

それが、結果的に自分の身を守ることでもあり、その方を行くべき場所に送ることにもつながると思っています。

「助けたい」は「感謝されたい」とか「良い人間だと証明したい」という欲に繋がりやすい

我々占い師とお客様は、鑑定してる間だけの関係だと割り切っていないといけないと思います。

鑑定をし終えたら、この先その人がどうするかは考えてはいけない。
ましてや「あんなにアドバイスしてあげたのに」とか「言ったとおりに行動してない」とかの文句は言うべきではない。
第一、そこを考えても自分が病むだけです。

どうするかなんて、その人の勝手で、自由。
占いで人を変えよう、人の人生に影響を与えようなんてのはエゴです。
承認欲求を満たすために仕事をしていると、自分が苦しむだけだと思っています。
所詮、占いは占いです。
お金を出した人が自分で欲しいものを受け取って満足すればそれで完了です。
作家が本を買った人がどうするかを気にしてたらやってられないし、健康診断に来た人がその後どんな生活をしてるかを気にしてたら医者を続けられないのと同じ。
そこを履き違えてはいけない。

だから、まず自分の身の安全と、働く環境や精神衛生を守ることを第一に考えて、もしもそれを脅かす可能性があるお客様がいらしたら、しっかりお断りするべきだと思っています。

自分の中の思い込みにも目を向けて

だいたいの日本人は「苦労しないとお金は貰えない」「我慢することが仕事」「お金をもらうなら、嫌なことがあって当たり前」という意識がどこかに潜んでいます。
あと「自分は良いことをしないと良い人になれない」とか「いっぱい奉仕しないと価値がない」という意識がある人も多いですね。

私の中にもそういう意識がありました。
だから「やりすぎてしまう」とか「要求されてもないのに、損をしてでも相手に与える」といことをしてしまっていたのだと思います。

そういうのって、無価値感につながるものですよね。

「占いをして、感謝されて、自分に価値があると思いたい」というのは承認欲求であり、根本的には無価値感からくることだと思います。
感謝されないと自分に価値を感じられないということですから。

これらはすべて「自分に価値があると思っているならしなくていい」ってことばかりですよね。
「自分には価値がある」と感じることを”他人の言動”から得ようとしてるから、得られなかったり足りなかったとき怒ったり混乱したりする。
無いと思ってるから無いのに、無いものをもらおうと必死になるのは無駄なこと。
自分にも価値があるんだから「ある」と認めるところから始めないと終わらない話です。

ですからまず、占い師をする上も、その他の仕事であっても「自分は大切に扱われるべきで、仕事に対価を支払われて当たり前だ」と思うことと、「他人がどう思うかは、それぞれの勝手」と思うことが大切ではないかと思います。
そして、自分が提供できるサービスの枠を理解し、それ以外を提供しようとしないこと、要求されたら断ること。

自分の中に「なんでもしないと、人一倍やらないと、求めてもらえない、価値があると思ってもらえない」という意識がないか確かめてみることで、色々見えてくる気がします。


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