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同じ日本語でも「翻訳」が必要なことがある

会社のあの人の言ってること、まっっっじで分からん。

もはや日本語じゃない気がする。

そういうときって、ありますよね。

え、そこまではない?

いや、あることにしてください、今日のテーマなので…

最近ね、コミュニケーションが上手くいかないってこういうときじゃない?って話をしておりまして。

ざっくり言うと「なんだかんだ、コミュニケーションエラーの原因は自分と思ってたほうが早いぜ」という話で、

その原因とは主に以下の3つではないかと思ってるのです。

1. 相手に土俵を提示していない
2. 相手の語彙で話していない
3. 相手の理解度を把握していない

ひとつめの原因については既に書いてるので、良ければ今回のとあわせて読んでほしいのですが。

今日は2つ目の「相手の語彙で話していない」について書きたいのです。

***

みなさん、自分のことばを相手のことばにちゃんと翻訳してますか?

いきなりキョトンな話ですが、まあ要するに、話すときは誰でも簡単に理解できることばを使おうということ。

「…おいまたコイツ、当たり前のこと言うとるど」とささやく声が聞こえます。

そして「てか同じ日本語なのに?そんな大差ないやろ」という声も聞こえます。

ところがどっこい。

だってね、世の中にはいろんなことばがあって、誰かにとっては簡単なことばも、別の誰かにとっては難しいことばになり得る。

たとえば、横文字のビジネス用語。

アサインやらインビやら、コンセンサスやらドライブやら。

そうやってよく分からんカタカナでまくし立てる人を、揶揄する風潮がありますが、これこそ答えだと思いませんか?

だって、揶揄したくなるのは、横文字のビジネス用語を使いこなせないひがみというより「ハナから誰でも分かることばにせぇ!」という苛立ちからじゃない?

で、あなたも似たようなこと、無意識にやってませんか?というのが今日のお話です。

「いやいや俺は横文字なんて使わんよ、任命する、招待する、合意をとる、追い込む!バチバチのジャパニーズやでい!」と思うかもしれません。

でもね。

あなたが気づいていない業界用語って意外とゴロゴロあるのですよ…

業界用語って、傍から聞いたら普通に専門用語で、ちんぷんかんぷんですからね。

もちろん、その業界内の人同士のコミュニケーションなら、全然問題ないのよ。

カタカナだらけでも漢字だらけでも、数字だらけでも何でもいい。だってそれが共通言語なんだから。

だけど、その界隈を一歩踏み出しただけでも、スムーズに意思疎通できないことがある。そんなときに翻訳が必要だと思うのです。

まだ疑わしいかもしれないけど、隣の部署や社外の人と話したあとに「あの人が言ってた○○って何のことだったんだろ…」と咀嚼しきれない単語に出会ったこと、誰しも一度はあるのではないでしょうか。

いくつか私の経験を挙げてみます。

以前、小売企業に勤めていたとき、社外の人からこんな話を聞きました。

「さっき○○さん(うちの会社の別部署の人)と立ち話してたんですが、会話に出てきた"ジンパイ"ということばが分からなくて困ったんですよね~😂」

みなさんわかります?

ジンパイ。

ジーパイじゃないよ。でもジーパイは好き、美味しいもんね。

…じゃなくて、ジンパイとは「人配」のこと。

漢字から連想できるかもしれませんが、そう、人員配置のことです。

小売業は常に人手不足ですから、いかにムダのない人員配置をおこなうかは永遠の課題です。

なのでこの「人配じんぱい」ということばは、入社時から叩きこまれる小売業界用語の一つ。

社内の人なら誰でも分かることばだし、実際何気ない会話でも「人配計画がどうこうで~」みたいな感じで普通に使ってました。

でもおそらくみなさんは、ピンとこなかったですよね。

実際これを書いてても予測変換に出てこないし、検索しても「ひとくばり」という違う読み方が上位に出てきたり、

質問サイトでも「人員配置の略だと思いますが~」と書いてありました。

……ここまで出てこないって、もはや小売業界でも一般的ではないのかもしれない。うちの会社だけのことばだったのかもしれない。

さっきの社外の人の話に戻すと、その人はその場で意味を確認したか、話の流れから読み取ったかで、特に問題にはならなかったようですが、

これが大事な場面でのコミュニケーションだったら、めちゃくちゃムダが生じると思うのです。

「〇〇って…えと…どういう意味ですか?」って話を中断しなきゃいけないから。でもその場で聞けるならまだ良いほう。

半数以上の人は、文脈やそれまでにもらった資料、あるいはグーグル先生に聞くなどして、自力で意味を解明しようとするんじゃないでしょうか。

私は聞けないタイプなので、断然こっち側。

でもこの考えあぐねる時間もムダ、調べる時間もムダ、ムダのエレクトリカルパレード!!!じゃないですか?

何よりたどり着いた解釈がもし間違っていたら、ズレていたら。

場合によっては一大事ですよ。小さな認識のズレが、後々大きな落とし穴になることってあるから。

は~~ムダだねぇ~~

もう一つの例もお付き合いください。

今度は今の会社での話。

広告制作も受注している会社なんですが、入ってすぐの頃は、何度も出てくる「クリエイティブ」という意味がピンときませんでした。

みんな、分かる?

「クリエイティブ…?ん?良いデザインってこと?」「いや、絶対文脈的に違うな?」と思いつつも、

私はガッツリ制作に携わるわけではなかったので、話を遮ってまで確認することはせず、あとでこっそりグーグル先生に聞きました。

…そしたらさ。

クリエイティブって、広告のために作られたもの全般を指すらしいよ。

これを知ったときの率直な感想言っていい?

……

……………

は?????

今流行りの猫ミームの、5倍ぐらいの強さで脳内再生してほしい。

え、だって普通にバナーとかチラシとかCMとか、具体的な名詞があるのに、なんでそう言わないの?

総称するにしても、コンテンツとか制作物でよくない?

てかクリエイティブって、基本形容詞だろうがよぉ!!!

そう思ったらクリエイティブディレクターもヘンテコだなぁ!!!

みたいなね。

ちなみに他の業界も何かあるかなと思って、ちらっと調べてみたら、製造業では製品のことを「ワーク」って言うって出てきたんですけど、本当ですか?

製品っていうことばがあるのに???

部品や完成品や仕掛品ということばもあるのに???

輸出入があるから、そうしたほうが分かりやすいのですか???

……私が言いたいこと、だんだん分かってきてもらえましたかね。

こんな風に、業界用語って、まじで門外漢にはまったくイメージできない、って話🤷‍♀️

だから、誰でも簡単に理解できる一般用語に翻訳しよう、って話。

人配はそもそも人員配置って言えばいいし、短く言いたいとしても、人繰りのほうがまだ一般的。

広告クリエイティブはコンテンツや制作物って言えばいいし、もはやバナーとか具体的なことばに置き換えれるなら、なお分かりやすい。

ワークはもう……私には分かりません!!!
知らんけどなんか意味が広そうすぎる!!!

まあそうは言っても業界用語とはもう身体に染み付いたもの。

それを瞬時に翻訳するのは、正直難しいものです。

この対策としては、ひたすらに客観的視点と想像力を磨くしかないと私は思います。

どんな業界用語も、あなただって最初はちんぷんかんぷんだったはずです。

学生のときから馴染みがあったなんて、レアなケースでしょう。

だから、言い慣れた業界用語が口をついて出そうになったら「いや待てよ」と、

そのことばを初めて知ったときの自分を思い返してみる。

まったく分からなかったのか、少しは意味が察せれたのか。

意味を聞いてすぐに理解できたのか、そのときはどう説明されたのか。

いろいろ思い出してみると翻訳のヒントが見つかるかもしれません。

次は、そのことばを普段使っている範囲も、俯瞰で思い出してみる。

よくよく考えたらデスクの周り半径1mでしか使ってないことばではない?だとしたら、今話しかけてる相手は半径1m内の人?

そして相手の頭の中に、思いを馳せます。

相手の業界、部署、職種的にそのことばに馴染みがありそう?

まったく違う業界だから言い換えたほうがいい?業界は違うけど、結局うちみたいな業界ばかり相手にしてそうだから大丈夫?

こうやって、一歩引いてその業界用語を見つめ直す。相手の語彙リストを想像する。

その結果、自分の語彙リストと違いそうなら、相手に合わせて翻訳する。

(「いや、相手が合わせろ」と思った方は…冒頭にリンクした記事も読んでみて。それ以上は言いません。)

もし、自分と相手の語彙リストの差がどのくらいか、とっさに判断できなかったら。

そんなときは早口で両方言っちゃえばいいのサ。

「いや~人配がね~どう人を配置するかってね~ずっと悩みなんだよね~」みたいな感じで。

昔読んだ小説で、こういう描写がありました。

海外のとあるVIP専用銀行では、顧客が来た際、2つの言語で続けざまに「いらっしゃいませ」と声を掛ける。

なぜやら、顧客がどちらの言語で答えるかで、こちらが使うべき言語を判断できるから。

「え~~~さりげないスマートさ~~~」と感動したのでずっと覚えてるんですが、小説そのもののストーリーは1ミリも覚えてません。

さっきの人配の例文は、まっっったくスマートに書けなかったけど同じことで、

これで相手が「あ~どの店も"人配"って課題なんですね~」と返してくれば、その人は人配OK派閥だから翻訳不要というわけ。

ちょっとこれは本筋から逸れちゃいましたが、要するに、自分の持つ語彙を相手に合わせて自由自在に翻訳できる

それがコミュニケーションマスターへの道の一つだと思うのです。

さあ、エビバデ、セイ!!!

コミュニケーションマスターに!!!
おれはなる!!!

ただ「そもそもその翻訳もムズいやろ!」という声も聞こえます。(おれはなるのくだりは、そのままスルーでどうぞ)

翻訳というと「単語⇔単語」のイメージがありますが、相手に意味さえ伝わればいいので「文章」でかみ砕けるなら、それで十分とも思います。

でもやっぱり、語彙力が高いに越したことはない

で、この語彙力強化については、頭に浮かぶことは多々あれど、上手く言語化しきれてないので、もう少しあとに別で書きたいと思います。

だがしかし!

そのうち一つだけ。

番外編的だけど個人的にはとても好きなものがあるので、書きなぐりの脊髄反射テキストですが、一足先におまけとして書いてみます。

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