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香港MBA生活①なぜ香港だったのか?

この記事は、以下の人に向いています。


▫️MBA留学に限らず留学を目指している
▫️海外生活や就職を目指している
▫️香港が好きだ
▫️時間があって暇なので何か読んでもいい

僕は放送局Pを辞め、海外MBAを志した。狭い分野の仕事に特化していたため、もう少し広い視野が欲しいと思ったこと、海外経験が旅行程度しかなく外の世界を覗いてみたいと思ったことがきっかけで会社を辞める決心をした。

僕の卒業した香港中文大学は日本での知名度はかなり低いが香港、中国では一応名門校と言われている。入学時のランキングはFT Ranking(フィナンシャルタイムズのランキング。いくつかランキングがある中で、一番信憑性があると言われている)で26位。当時アジアMBAでは3番目とかだった気がする。今現在は残念ながら確か50位台へ下がっている。卒業生の給料の伸び率や様々な要素もランキングの判断基準となるため、卒業生として非常に申し訳ない限りである。今後、少しでも貢献できたらと思う。すいません。

MBAというと普通は欧米のMBAを想像すると思う。アメリカ、イギリス、スペイン、フランスあたりには世界のトップレベルのビジネススクールがあり、世界中から優秀な人物が集まってくる。

その中でなぜ香港だったのか、今更ながらに振り返りたい。ちなみに僕が卒業したのは、香港がデモやコロナなどが起こる前の話である。今現在の香港MBAの状況や、オンラインに移行した授業などは経験していない。


香港MBAを選んだ理由は主に以下の理由からだ。


▫️学費問題 
▫️英語力
▫️年齢
▫️地理的メリット
▫️アントレに強い
▫️香港が好き


ではひとつづつ説明しよう。

▫️学費問題

なぜ香港を選んだのか。学費問題である。要はお金が圧倒的に足りないねん!ということになる。まずは香港を含めた欧米のMBAに関して簡単に説明する。

アメリカのMBAのほとんどは2年制のプログラムを提供している。これは卒業までに2年間の学費と生活費がかかるということだ。対するヨーロッパのMBAは1年制のところが多い。これは香港も例外ではない。僕の卒業した香港中文大学では生徒が各々、12ヶ月か16ヶ月のプログラムのどちらかを選ぶことができた。12ヶ月の場合はその分授業を詰め込むことになる。スケジュールはタイトになるが、それでも早く卒業できるのは、時間と費用を圧縮できるので、僕にとってはメリットに感じた。

そして学費に関してだが、欧米のMBAは年間約1000万円程度かかる。(学校や為替によって変動あり)それにさらには生活費がかかるので、少なくとも1300万はかかる計算になる。これが2年になれば単純に2倍である。とても払える金額ではなかった。かたや、香港のMBAはどこの学校も大体当時のレートで700万円前後、シンガポールで500万円前後だったと思う。それに生活費など諸々300万くらい。圧倒的にお買い得である。(もちろん安くはないけど汗)

なので社費で派遣される恵まれた人以外は、必死にローンを組んだり、親から借りたり、貯金をして留学することになる。物凄い決断が必要になる。私費留学だった僕には2年もMBAに通うお金はなく、いつかマンションでも買おうと貯め続けた貯金を全額叩いて香港へと飛んだわけである。

しかし社費留学生は違う。香港大学MBAの同期だったとある日本人は、某業界大手の社費留学だったが、ハーバービューの夜景が綺麗な50何階だかの日本円で60万円くらい(香港は家賃が異常に高いのです)の高級マンションに住み、給料をもらいながら、何なら貯金もできる状況とのこと。かたや僕らのような私費留学生は、築50年くらいの6畳ほどのバストイレ共用(シャワーのみ)の寮に住み、窓から見える他の校舎や運動場を横目に、1食にかけるお金を緻密に計算しながら、辛ラーメンを食べ、その後スープに白米をぶち込んで腹を満たす生活である。(実体験。実際に週に4〜5日ほどはそんな食事だった。お金がないから。)

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<実際の寮の部屋。ギリ6畳ほどで、バストイレは部屋にはない。月6万ほど。窓から見えるのは運動場で昨今のデモで催涙弾の嵐になった場所でもある>

もちろん社費留学生は社内での選抜に勝ち残る必要があり、そこは狭き門であり、勝ち残ったからこそ得られるエリートの権利である。それはそれでMBA受験の前から始まる社内での戦いに勝ち残らないといけない。僕のような雑草野郎にはそもそも手に届かないものである。

ちなみに僕の知る社費留学生(香港に限らず)の半分以上は、卒業後、1年〜2年程度で外資へ転職していった。そんなものである。会社員で社費留学制度がある人は、絶対にその制度を利用したほうがいい。厳しい社内選抜を勝ち抜くだけの価値はあると思う。

▫️英語力

欧米のMBAのほとんどがTOEFL100点を基準にふるいにかけられるところが多いが、残念ながら僕は100点に届かなかった。(涙)純ドメで海外経験がなかった僕にとってTOEFLとGMATは地獄だった。よく吐き気を催しながら、受験したのを覚えている。そういった意味でも、欧米は厳しいなと思ったのも正直なところだ。TOEFL100点を仮に取れていたとしても、学費を考えると予算オーバーだった。

しかし香港やシンガポールなどのアジア圏に関しては90点以上をTOEFLで取れていれば、英語力で切られることはおそらくないであろう。(現在の状況はわからないので最新の情報はアドミッションに直接問い合わせてみてください。)そして自分の卒業後のキャリアの興味はアジアにあったので、アジア圏のMBAが第一候補となった。


▫️年齢問題

MBAの準備に入った時には、既に30代になっていたので、少しでも早く社会復帰をしたかった僕は2年制MBAはやはり長く感じた。そういった意味でも1年で卒業できるのは時間も圧縮でき、ブランクを最小限に抑えることができ魅力的に感じた。仮にもし経済的に問題なく支払いができる状況で、20代後半だった場合、2年制のMBAを選んだかもしれない。そのほうがインターンや、就職活動をする時間があるし、何より現地の生活に深く入り込める。学生らしい友人との旅行や、何か新しいことに挑戦したりする時間もあったと思う。


▫️地理的メリット

香港は日本から4時間半、中国・深圳へは地下鉄で行ける距離にある。将来的にアジア圏でビジネスをしたいと考えていた僕には、当時、ベストに近い場所だった。英語が通じやすい文化と中国へのアクセスの良さ、この2つは何にも変えられない。ちなみに香港中文大学からは、40分ほどで深圳へ行ける。インターナショナルで自由なエリアで、それでいて中国を肌で感じることができる。僕にとっては理想的な場所に感じた。そして時差が2時間しかないので、日本との連絡も取りやすいし、行き来の飛行機代も安い。欧米の場合は少なくとも飛行機で10時間以上はかかるし、時差もある。なかなか気軽に行き来できない。


▫️アントレに強い

香港中文大学はアントレやマーケティングの授業が豊富で選択肢がたくさんあるのも決め手だった。香港のMBAは主に3校あり、それぞれに特徴がある。HKUST(香港科技大学)はFTランキングはトップクラスの10位前後、ファイナンスやアカウンティングの授業の選択肢が多い。銀行出身やコンサル出身の人が多い印象である。HKU(香港大学)はよりジェネラルな感じだがMBAの歴史が浅く、卒業生が少ない。ただし知名度は1番あり、学部のランキングはアジアトップクラスである。CUHK(香港中文大学)は、香港MBAでは歴史が1番古く、アントレに関する実践的な授業が豊富なのが魅力的だった。

卒業後は起業するつもりだった僕は、アントレの授業が豊富な香港中文大学に惹かれた。実際に、スタートアップにジョインしてそのスタートアップのコア技術などを使い、新たなビジネスモデルを考えてエンジェル投資家とVC達にピッチするという授業もあり非常に実践的で、またリアルなシチュエーションを経験することができた。そのほかVCの授業やマーケティングにまつわる授業もたくさんあった。そこでの経験は、今現在も役立っていると感じる。

(それぞれの学校に特徴がありますが、必修クラスではジェネラルにどの学校もファイナンスやアカウンティング、そしてマーケティングなどの授業は行いますし、選択科目でどの学校もファイナンスやマーケティングの授業はあるはずです。ただその選択肢の幅が各学校ので違い特色となって表れています。)


▫️香港が好き

なんだかんだ、最後の決め手はこれだったかもしれない。香港の熱気とカオスな感じがたまらなく好きだった。初めて旅行に行った際に自由を感じた。映画の世界がここにある!!なんて興奮したのを覚えている。そしていつかここに住みたいと思ったのだ。



上記のような理由で、僕は香港のMBAへいくことを選んだ。
ちなみにオファーは、香港大学、シンガポール国立大学、香港中文大学から頂き、最終的には香港中文大学にした。

今考えると中国大陸のMBAをもう少し真剣に調べても良かったと思う。受験プロセスや基準が特殊なので、他のエリアとの併願がしにくそうに感じて、当時はあまりちゃんと調べなかった。


今回はなぜ香港MBAを選んだのか、その理由についてを書いてきました。

次回は、香港での生活や授業の様子、学校での出来事などを順に書いていければと思う。


Chineeland秦でした。
それでは再见!



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