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「ママはなんでも作れてすごい」料理が苦行だった私が、4歳息子に言われるまで。

「ママはすごいね、なんでもつくれて」

4歳の息子のお気に入りの「タコとセロリのマリネ」をつくっていたとき。横にならんで背伸びをして、私がボウルでまぜる様子を見ていた彼がそう言いました。

まるで何かのセリフのようなその言葉に、私は一瞬、自分の耳を疑いました。そして温かいものがこみあげてすぐに胸がいっぱいになり、次の瞬間には「ありがとう、ママうれしい」とすべての作業の手をとめ、息子を抱きしめていました。

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思い起こせば、結婚したばかりの6年前。私は料理が苦手でした。

たまーに休日とかにつくることはあっても、「毎日料理する」ことは、私にとってはじめて。毎日台所に立つようになり、料理にまつわる一連の行動の大変さを、身にしみて感じました。

365日間、毎日飽きないメニューを出し続けること。そのために買い物へ行き、重い荷物を持って帰ってきて。レシピを確認しながら時間をかけてつくり。食べ終わってから、皿洗い、片付けまで仕事が残っている・・・。

つくってもおいしいのか、おいしくないのか、夫からの反応が気になってしまう。せっかく頑張ってつくっても、まずいものになってしまったら・・・?ああごめん、コンビニで別のもの買ってきてなんて言えない。労力、食材費、楽しみにさせてしまった気持ちも、台無しにしてしまう。片付けだって、むなしい。

仕事終わりのそれは、私にとって「第2の残業」とも呼べるほどの苦行でした。

今までなにも文句も言わずに30年以上、それらをひとりでやってのけた母はすごい。「ごはんがまずい」と言われ、まだ小さかった妹や私の横で泣いていた母の姿が、幼少期の記憶としてまだ鮮明に残っています。

大きくなってから私が「外食したい」と言っても、「お金がもったいない」と家でつくることを選択するような母でした。きっと私たちの栄養のことも考えてくれていたんだと思います。ファミレスやファーストフードに行った記憶は、数えるほど。

中学・高校は、ほぼ毎日お弁当!しかも毎日違うものが入っています。友達はいつも「コモのお弁当はいつもすっごくおいしそう」と言ってくれました。私はそうかな?と思いながらもぐもぐ食べていたけど、今ならハッキリ言える。

母の料理はおいしかったし、料理を毎日続けるのは正真正銘の偉業でした。


そんな料理が苦手だった私。

今は夫から「忙しいなら、お惣菜買ってこようか?」と言われても、冷蔵庫を見渡して「ううん、家でつくるわ」と返す日々が続いています。まるであの時の母のようで、信じられない。でも節約とか、ヤセがまんとか、そういうことじゃないんです。

自分の料理が、おいしいからなんです。

自分の料理がおいしいなんて、よく言えたもんだと思いますが、でもこれには理由があります。ちょうど1年前の今日、7月15日。私ははじめて、オンライン料理教室のレッスンを受講してみました。

そのころ私は、まだまだ料理が苦行でした。緊急事態宣言が発令されて保育園がおやすみになり、3食ずっとつくっていたのでいつも台所にいる状態でした。外食にもテイクアウトにも不安がある時期。自分なりに「時短料理」とかつくると、どうも味が似通ってしまう・・・。

自分の料理に、自分が飽きていました。

私が飽きているんだから、家族はもっと飽きていたでしょう。とりたてて私のつくる料理に、感想はありませんでした。

そんな矢先にはじまった、オンライン料理レッスン。もともと大好きだった料理家のSHIORIさんが、スマホ越しに超絶わかりやすく料理を教えてくれます。しかもそのメニューがちょうど「今これ食べたかったんだよね!えっ家でつくれるの?」ってものばかり。

最近だと、暑い夏にむしょうに食べたくなる「グリーンカレー」。つくるだけでタイ旅行気分に!

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アクアパッツァに、パスタをからめたもの。その名も「アクアパッスタ」!これね、夏の昼下がり、キンキンに冷えた白ワインといっしょに食べるときっと最高。目をつぶるとイタリアの港町が見えてきそうです(笑)

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そしてそして、アジフライのアジは、なんと自分でさばいてしまいましたー!揚げるとアジはどうしてこんなにふっくらするの?サクサクの衣と食感があいまって、いくらでも食べられちゃう。

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夫はいつも私のつくった料理を食べると「これすごいおいしいね。もう外で食べる必要ないね」と言ってくれます。もう、結婚したばかりの6年前、料理が苦行だった私に聞かせてあげたい級のコメントです。

昨日もレッスンで習った韓国料理のキンパをつくったら、いつもはぜんぜん食べてくれない2歳の次男が、モリモリ食べてくれて。夫も「キンパは家がいちばん」と言い、具がギッシリ詰まった太巻きのキンパを、ひとり1本食べる計算で食べきりました。

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冒頭の息子のことばの

「ママはすごいね、なんでもつくれて」

これはオンラインレッスンを受けてなかったら、きっと聞くことはなかったと思います。1年間、惜しみなく料理の知識をわかりやすく教えてくれたSHIORIさんには、感謝してもしきれないし。心地のいいサービス運営をしてくださっている、運営チームのみなさんの努力があってこそです。

私は今まで何度か、ほかの料理教室にも通ってみたことがあるのですが、ここまで”ふだんの私が助かる料理教室"はなかったなぁと思います。ほしかったのは背伸びして味わうような非日常の料理ではなくて、いつもの私がおいしいと思える料理でした。


これからきっと、子どもは成長し、私たち家族もどんどん変わっていくと思うけど。母の料理で私たちが育ってきたように、家族のまんなかにはずっと「おいしい料理」があって、それで繋がれたらいいなと思います。

思春期になった息子からどんなにひどいことを言われても、おいしい唐揚げがあれば、ひとことふたことは話せるような気がします(笑)

さあさあ今日は木曜日。今日の朝ごはんは、シャケを焼こうかな〜
もりもり元気な1日になりますように。

小森谷 友美
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