見出し画像

「吃音」と「電話」問題

「言葉が出ない!電話が苦手!だからできません!お願いします!」
そうやって生きられたらどんなに楽か。
でもそんなこと言えるわけもなくて。

悩んでいるけど誰にも言えず、言える人がいるわけでもないので、
ここに心に浮かんだまま書いてみようと思います。

皆苦手だからこそ、できないって言いずらい空気

ずっと疑問に思っていて悩みの種でもあるのですが、吃音を理由にどこまでならできませんと言っていいのか分からないのです。どの範囲までなら「吃音だからしょうがない」になって、どの範囲なら「吃音があっても頑張らないといけない」になるのか本当に分かりません。

電話って吃音関係なく、苦手な人が多いイメージがあります。
できれば皆やりたくないみたいな。
ん?そもそも電話好きな人っているのかな?

あ、ここの「電話好き」っていうのは、
好きな人と連絡するときに、「LINE派?」「電話派?」っていう
「電話派」とかの話じゃなくて、会社での電話の事です笑。

いや、もしかしたら知らないだけで、電話でばりばりお客さんを獲得できる電話大得意なOLさんとかいるかもしれないけど、
でもまあ【電話得意不得意調べちゃうぞ!全国一斉調査】と題して、
アンケートとったらきっと半分以上は絶対嫌いなんじゃないかなぁと思う。

だからこそ、「私吃音があって話すのが苦手なので電話できないです」って言った時の会社の人たちの反応が怖いんです。
顔はニコニコしていて「わかったよー」って言っていても、
心の中で「私だって電話苦手なんですけど、」
「みんな嫌だけどそれでもやってるんだからさ、」って思っていそうで、
私だけ皆が嫌なことをしなくていいのかと思ってしまうんです。
すごく申し訳ないし、卑怯なんじゃないかって怖いのです。

そしてここでまた厄介なのが、
普段咄嗟に言い換えをしたり、言えない言葉があると喋らないという選択肢をとっているせいで、吃音症の症状がほとんど会社の人の前で出ないということです。
出ないというか、隠してるんです。
保育園の頃から吃音とずっと一緒なので、吃音が本当はひどいんだけど、
ひどくないように工夫して隠せてしまうからこそ、
「電話できないとか言ってるけど、普段普通に喋れてるじゃん」という声が
はっきり聞こえてきそうなのです。

もし私が吃音じゃないけど電話が苦手だったら、「吃音だからってずるい」「全然喋れてるじゃん」って言わないけど心のどこかで思うと思います。

電話はいい言い換えが難しい

でも本当に、怠けているわけではなくて電話になると言葉がビックリするくらい出ないのです。これは私にも原理がよくわかりません。
<電話がかかってきた場合>
①「お電話ありがとうございます」の「お」が出ない。
②まずい!と思って別の言葉を探します。
③「○○会社です」の「○○」が出ない。また不発。
④こちらから話さなきゃいけないのにどうしよーって焦る
⑤なにか言葉を発しないとと思い、やっと、「はい、、」という言葉が出る

取引先の会社やお客様から電話がかかってきて、最初の言葉が「はい」だけって良くないですよね、、。いつも反省しています。
調子がよくないときは、どんなに頑張っても7秒以上喋り始めるのにかかってしまう。
私にはこれが限界です。はあ、。

<電話を掛ける場合>
①相手の「はい!○○です」が聞こえる。
②「お世話になっております」の「お」が出ない。
③「○○会社です」の「○○」が出ない。また不発。
④こっちらからかけておいて何も話さないなんて大迷惑だーって焦る
⑤不快にならない程度で「あのー」とかを使いながらやっと言葉を出す

対面より電話って、かっちりとした言葉を使わないといけないイメージがあって、だいたい最初はこんな挨拶から始まって、、みたいに、言う言葉も決まっているからなのか、私にとっては咄嗟の言い換えがものすごく難しい。。
会社名や個人のお名前は言い換えしたら大変なことになるし、、。

もう一つ対面と違うところは、頑張って喋ろうとしている様子や考えている様子が電話だと伝わらないので、ただ黙っているように捉えられちゃうからとても難しいし、相手に申し訳ないです。
いつも私を助けてくれている言い換えがないと、こんなに私は言えないんだって言い換えの偉大さを感じる瞬間でもあります。

自分が頑張れば言えないこともないからこそまた辛い

吃音って、ずっと言葉が出なくて言えないというわけじゃないので、周囲の人も吃音の症状を理解するのは大変だと思います。
言える時と言えないときの波が本当に激しい。

電話の対応が悪いと結局会社にも迷惑を掛けることになるので、ちゃんと説明しなきゃなとは思うのですが、私さえ我慢して頑張れば、電話にまったく出れないということはないわけだし、そうすれば皆の負担も減るし、私も変に気を使わなくていいからいいか。
となって、「また電話に出る→言えない→辛い→反省」の電話ルーティンを毎日過ごしています。
電話の前を通るたび、「今鳴るなよー、今じゃないぞー」って電話に念を送っています。
電話をとらなきゃいけない度、負けることが分かっている戦場に行く気分です。

吃音症の方にとっては、電話の辛さはあるある中のあるあるですよね。

ひとりごと

現代のテクノロジーの力で、頭に浮かんだ文章を声にして音読してくれる電話とか発売されないかなー。
あ、でも電話の最中に、疲れたとか一瞬でも思ったら、相手に聞こえちゃうってことか、、。それはそれでまずいですね(笑)

ちな

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?