吃音は男子に多いという呪縛
いつだったかちゃんとは覚えていないんだけど、
多分あれは、高校生の時。
誰にも相談できなかった私は、
なにかに縋りたかったんだと思う。
スマホに初めて「吃音」って打ち込んだ。
でも、
自分で自分を吃音だって認めるみたいで、
吃音の深い世界に入っていってしまいそうで、
吃音の情報に溺れてしまいそうで、
なかなか検索マークを押すのに時間がかかった。
一人で進むには怖すぎた。
何回も何回も深呼吸して、
心の中で、
「いっせーのーせっ、、、!」
なんて言って、初めて吃音という情報に自分から触れた。
目の前に映る文章全てが、
恥ずかしいくらい、自分の話し方の特徴を表していた。
うわ~全部私じゃん。最悪。
分かっていたけれど、再認識してその時は悔しくて悲しかった。
でも、どこかで救われる思いもあった。
目の前の文字情報の一文一文が、同じ吃音を持つ友達みたいで、
そうそう!こういうことあるある!同じだ!
やっぱりそうしちゃうよね!
って誰にも相談できないもやもやが、
ちゃんと文字になって言語化されていることで、整理もできた。
でも今でも覚えてるし、
今でも好きになれない、すごくすごく傷ついた文章が1つだけ、あって。
「吃音は、男の子の方が女の子に比べて多く・・」
「吃音は、症状が続くのは男児の方が多く・・」
「大人では、4:1程度で男性の方が多い」
私これを見た時、時が止まったんです。
だって私、女だったから。
え、男子の方が多いの?
なんで私は女の子なのに吃音があるの?
まって、女子で吃音なんて最悪すぎる、、
最後は、
(私は)失敗作だ。
そう思いました。
女の子はあまり吃音にはならないのに、私はなってしまってお母さんがかわいそう。なんで吃音になっちゃったんだろって、すごくすごく自分を責めました。恥ずかしくなりました。
高校生の私の国語の能力がまだ低かったり、
社会を知らなかったからだと思うけど、
「~の方が多い」っていう表現を見ると、
もしかしたら、6:4かもしれないのに、
頭の中では8:2くらいに思えるんですよね。
いや、高校生の私は9:1くらいの感覚だったかもしれません。
学校で同じ吃音の子に会ったことがないから、
なおさらこの世界で、吃音で女の子なのは、
自分だけであとはみんな男子なんじゃないかとまで、
思考が暴れてしまって、取り残されたように感じました。
ネガティブ思考って一回入ってしまうと、抜けられない迷路みたいで、
どんどんはまっていってしまうんですよね。
ポジティブ思考がそうなればいいんですけどね~。
吃音なのはほぼ皆が男子。
女子で吃音にはあまりならなくてめずらしい。
あの情報から、私の思考が作り出してしまった、
最悪で偏った吃音の世界です。
ネットの情報しかその時はふれていなかったので、よくなかったですね。
恥ずかしながら、大学生まで、本気でこの思考を持ち続けていた気がします。
だから、「私は吃音です」っていうことが余計に恥ずかしくなって、ますます殻に閉じこもってしまいました。
障害の情報として、吃音の情報として、
性別の割合って必要かな?って素朴な疑問があります。
必要かな?(笑)
私は傷ついてしまったので、高校生の時の自分を救うためにも、書かなくていいものならなくなればいいのに、なんて勝手な思いがあります。
でも、いろんなサイトをクリックすると性別について触れている記事が多いので、きっと一般人の私には分からない、理由がきっとあるのかなぁ、なんて思ったり。でも、けっこう嫌だったり(笑)
私が、
「最悪で偏った吃音の世界」が
「自分で作ってしまっていた現実ではない世界」だと気付いたのは、
大学生の時初めてアカウントを作って見始めたTwitterに女性の方がたくさんいることを知ったり、
YouTubeで吃音をもつ女性が語っているのを見たり、
でも、一番大きなきっかけは、
「注文に時間のかかるカフェ」をテレビで見てから、な気がします。
主催者の奥村さんが“女性”だったということも大きかった。
吃音を持つスタッフも女性の方がたくさんいらっしゃって、
私だけじゃないんだ、、
女の子で吃音であることを責めていた重荷が、
ふっとなくなったのを覚えています。
もう今はあの呪縛はありません。
性別の割合なんて自分から考えることもありません。
失敗作だなんて思うこともありません。
だから、
奥村さんと、
注カフェに参加したスタッフの皆さんには感謝しかありません。
でも今でも、
テレビなどで男性の方が多いとか、
ネットでそのような情報に触れてしまった時は、
いちいち心がズキッとします。
「男児の方が多い」「男性の方が多い」という情報を知って、
メリットを感じる人はいるのかな?
もしなくてもいいなら、
少しずつその情報が消えていったらいいな。
辛いな~
なんて思って縋ってたどり着いた情報の中身に、
性別なんて冷たい情報より、
誰かに寄り添うような温かい言葉とか、
自分だけじゃないんだって安心できるような言葉とか、
そういうのが少しでも多くあってくれたら嬉しい。
ちな
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