見出し画像

私の職歴① 医療ソーシャルワーカー、話してて一番緊張する人…


私の場合は婦長でした。
今は「看護婦」とは呼ばず「看護師」だから師長さんになりますね。

病院は、例え公立の病院であっても、病院のベッドを回転させることをいつも考えねばなりません。
患者さんを長期入院させることで、収益が下がるからです。これは診療報酬の仕組みによります。
しかし、経済的なことだけでなく、入院を待っている次の患者さんを受け入れる為にも、ベッドの回転は必要なんです。

当時、大学卒業したばかりで、メラメラと福祉に燃えて青臭かった私は、ベッドの回転の話ばかりするある婦長さんがとても苦手でした。
リハビリの他にも、退院調整として、住宅改修やオーダー車椅子の完成など、時間の必要なものもあるのに、整わないうちに退院の話を出したくありません。

そうは言っても、向こうから見たら私なんて小娘ですからね、その圧といったら、デビ夫人に睨まれた出川哲郎みたいなもんです。
いや、そんなには愛情もっては見てくれてなかっただろうな。

あの時、私は目の前の患者さんしか見えていなかったけど、段々と病院としての組織のこと、入院を待っている患者さんのことも考えられるようになっていきました。


病院全体を見てると、やっぱり看護師さんたちで成り立っている、と思いました。
指示を出すの医師だけど、医療行為から、食事や移動の介助、長い時間患者さんが過ごす病棟をずっと守っているのも看護師さんです。

ある時、病棟に行ったら、ある患者さんの体調が良くない、という話を看護師さん同士で話していて、ごく自然に、今替えてきたばかりのオムツを広げて匂いを嗅いだんです。
赤ちゃんのじゃないですよ、70代の人が使ったオムツ。
ひょえーっ、とびっくりし、尊敬しましたね。

また、別の時、病棟のディルームで、お見舞いに来ていた人が、急にけいれんを起こしたんです。口から泡吹いて。
たまたま近くにいたので、病棟にすっ飛んで、看護師さんを呼びました。
4人くらいが、すごい勢いでストレッチャーを運んで駆けつけ、容体を確認しながらストレッチャーに乗せて、1人が救急エリアに連携して送りました。
残っていた3人が、「もー、お見舞いに来た人まで患者になったら、かなわないよー」と軽口叩いてましたが、めちゃカッコよかった。

目の前で医療が必要な人がいたら、反射的に動いているのがわかったからです。
何も考えてないんです。
目の前で命を救うことに集中して自然に身体が動くように、それが刷り込まれているようです。

看護師さんって、本当に大変な仕事だし、緊急事態もあってテキパキ働かないといけないし、気の強い感じのが人が多いなぁ、と実は最初の頃、あまり馴染めなかったんです。
病棟のナースステーションに行ってもアウェイな感じがして、なかなか話せなかった。

看護師さんへの尊敬の念がわき、私も年齢を重ね学び、向こうも聞いてくれるようになって、
師長さんもデビ夫人から黒柳徹子さんくらいには話が出来るようになっていきました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?