想起させるエナジー
雪が降りそうなこんな寒い夜も、
今日も彼女は、お風呂上がりにパンツとキャミソール。
…
あ、今日はふわふわのレッグウォーマーも身につけている!
…
うーん。でもパジャマはやっぱり着ないのか。
そろそろ、パジャマ着た方がいいと声をかけようか。
そう思って彼女を探すと、部屋の端で壁に向かって奇妙な動きをしている。
豆電球をスポットライトに、
壁に映る自分の影を見ながら、ダンス。
時にパントマイム様の動き。
私の脳裏に浮かぶのは、名作「フラッシュダンス」
パンツとキャミソールとフワフワのレッグウォーマーで一心に壁に向かって表現する彼女は、名作のヒロインのよう。
その姿を動画に収めたかったのだが、小学生のお年頃なのでパンツ姿はかわいそうだと断念。
そしてとても懸命なので邪魔したくないのだが、
グッ、グッフ、フォッと声が溢れ出してしまうほど、抑えきれない愛しさ。
つまりは申し訳ない、笑いがどうしても、堪えられなかった。
しかし、それに全く気づかない集中力。
大好きな炭治郎を見習っての全集中だ。
その全集中を、テーブルの上にある、まっさらな宿題プリントに向けてはくれないだろうか。
そんなことが一瞬頭をよぎった。
いやいや、彼女の素晴らしさはここなのだ。
この、パジャマを着ることも、宿題の存在も忘れ、一瞬壁に映った自分の影の動きに魅了され、表現を求める。目の前の興味に一心に向かい、母に名作映画を想起させるそのエナジー。
大好きだぜ。
でも一緒にやるから宿題やろう。
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