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お花


 小学生の時、母の日にピンクの花柄のハンカチをあげた。なぜハンカチをあげようという結論に至ったのかは忘れた。目の前に遊具を置いている広場があったスーパーで買ったことは覚えている。当時、消費税が5%だったので、525円。お手伝いで貯めた525円だ。当時のわたしにとっては100円以上は大金である。ほんとになんで買おうかと思ったかは忘れたが、とにかくプレゼント用に包んでもらい母に渡した。

 母にはなぜこんな高いものを買ったのかと怒られた。感謝の言葉もなく、無駄遣いするなと怒られた。ちなみに母曰く、そんなことは言っていないらしい。母なりの愛情表現だったのだろう。自分にお金使いなさいとかそういう。わたしは困惑したのを覚えている。喜んでくれると思っていたので予想外の反応が来てびっくりしたのだ。と同時に、自分の好意を否定された感じがして悲しかった。なんか、悪いことをしたんだと思った。彼女の反感を買うことをしたのである。525円のハンカチを買ったことで。


 月日が流れて、そのハンカチはタンスの中の服の山に眠っているのを発見した。大抵のことはそんなもんだろう。

 当時の記憶と食い違っているところがあるかもしれないが、わたしはそれ以来、母にプレゼントをしないようにしている。するといつかの母の日に、何もくれないよね、と言われた。二度目の困惑。え?そうしたのはあなたでは?おそらく彼女の記憶と私の記憶とは相違がある。

 母の日になると毎回思い出すので、世の人は日頃の感謝を伝えていて素敵だなと思う。



 語学学校に行っていた頃、ちょうど母の日があった。イギリスは日本と違って3月。イースター(4月の祝日)の3週間前の日曜日だそうだ。

 日本と違って、カーネーションよりカードをたくさん見かけたので、面白かったのを覚えている。(お花はあったけれどカーネーションはあまり見なかった) Mother’s Dayと書かれているのを本屋さんや文房具屋さんでよく見た。アメリカはMomだけど、イギリスはMumって違うのを知ったのも面白かった。

 たしか、この時に、イギリスってカード送る習慣があるんだって知った気がする。めちゃくちゃ種類があって、いろんな絵柄やサイズがあったので見るのが楽しかった。可愛いし。あと、なんかの時にカード送るのいいなって思った。飾っても可愛いし、自由にメッセージが書ける。なんか素敵だなって思った。

 わたしは当時ホームステイさせてもらってたところの奥さんにカードをあげた。(旦那さんも素敵な人なので切手のイラストがかいてあるカードを一緒にあげた) お母さんじゃないけど、めちゃくちゃよくしていただいたのでなんとかお礼がしたかった。お花が好きだと言っていたので、花のイラストが添えられたカード。英語覚えたてなので、訳を検索したり下書きを何度もして、拙い文章を書いた。喜んでくれたようで嬉しかった。

 これがわたしの母の日の思い出だ。
 どっちもおもいで。

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