詩『列車』
ガタンゴトン。
列車は僕を乗せて走っていく。
海辺も、街中も、山道だって。
トンネルに入ると窓に僕が映る。
隣にはうつらうつらしている少年。
ガタンゴトン。
列車は僕らを乗せて軽快に走っていく。
名のない駅、待ち人がいない駅にも扉は開く。
そしてまた、ゆっくり走り出すんだ。
知らない街、知らない風景、これから出会うかもしれない人、出会わない人。
みんなに心の中で手を振りながら、揺られながら。
ガタンゴトン。
再びトンネルに入る。
窓に僕が映る。
隣にいた少年はいつの間にかもういない。
ガタンゴトン、ガタンゴトン。
列車は加速していく。
たとえ行き先が決まっていなくても。
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