詩『幸せで満ち満ちた夜に』

幸せで満ち満ちた夜に
この代償として私は何を失うのだろうと考える。
この世に永遠などないことは残念ながら知っている。
私ってそんなに不幸だったっけ。
でもね、ちょっと信じてる。
あなたはいつまでも私のそばに居てくれるんじゃないかって。

半分欠けた月。
満月よりもきれいだと言って目を細めるあなたが好き。
二人ともちょっと酔いすぎ?
大人になりきれない私。

幸せで満ち満ちた朝に
あなたの残り香を心にめいっぱい吸い込むの。
それだけで私、十分だから。
「好き」だなんて言わないで。
熱っぽい目で私を見ないで。
私はずっと足りないでいたいのだから。

半分欠けた月。
今夜は会えないと電話口で言うあなたは嫌い。
水面に浮かぶ月。
ゆらゆら揺れるそこに飛び込めたらいいのに。

半分欠けた月。
満月よりもきれいだと言うあなたが好き。

幸せで満ち満ちた夜に
この一瞬を照らし出す月がいる。
この一瞬を分かち合えるあなたがいる。

欠けて、満ちて、また欠けていく。

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