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慈愛と料理

森沢明夫さんの『エミリの小さな包丁』という本を読んだ。傷心の女性エミリが東京を離れ、漁港に住む祖父の家を訪れて過ごした約二ヶ月の生活の物語である。

物語の中で、主人公の祖父がエミリに様々な魚料理を作り・教えてあげるのだが、そのどれもがとても美味しそうに描かれている。読んでいると、文字だけなのに、その料理の姿や味や匂いが頭に浮かぶ。そして、食べたくなって、作りたくなる。

美味しい料理を作れるようになるためには、美味しい料理を食べて、直接その味を感じることが大切だと思う。それは同時に、作り手の気持ちに触れることである。そして、どんな事においても「あの人の、あの味を再現したい」という憧れの気持ちは、大事な成長の糧となる。

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