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あの人に、ぜんざいを贈りたかった。

帰り道にぜんざい贈る屋「達磨善哉」を始めてから、1年が経過しました。はやいものです。この1年のうちに、商品のラインナップや活動の拠点が広がり、だんだんと私たちの存在を知る人が増えていることを実感しています。

一方で反省していることもあります。それはお客さんから聞かれる、“そもそも”の話に対して、うまく答えられてこなかったことです。少なくとも、“ちゃんと伝わるよう”には回答できていませんでした。

その理由は明確で、ほとんどの物事(どこに出店するか、どんなメニューにするかなど)は、これまですり合わせなしで、母娘の阿吽の呼吸だけで進んでしまったから。お互いのことを理解しているがゆえに、何もかもがスムーズに決まってしまうので、あまり言語化する機会もなかったんです。

……ですが、ここまで一直線に駆け抜けてきた達磨善哉。2023年の節目ということで、一旦の区切りとして曖昧にしてきた「達磨善哉のあれやこれや」を整理し、ここに残しておこうと思います。

2023年12月26日。神田ニューロンでの最後の営業

私たちはなぜ、善哉(ぜんざい)をつくっているのか。

この質問が、お客さんに聞かれるNo.1!

これを話すに、まずは私自身のルーツについて説明します。とてもプライベートな話にはなりますが、私は父親が外国人で、昔から違う国籍の方や文化に触れることが多い環境にいました。おそらく自分は何を持って生まれてきたのか、と考えることが人より多かったのではないかと思います。それもあってか、じゃあ自分の個性(自分らしさ)ってなんだろう、って考えたときに「結局父は外国人だけど、私は日本人なんだよな」と、思うことがあって。つまり“私だからこそできることってなんだろう”を探していたときに、「和菓子」や「善哉」にたどり着きました。

じゃあ、なぜ他にもいろんな和菓子がある中で、善哉だったのか。

そもそも私たちは、料理人でもなく、和菓子職人でもなく、どこかの専門学校を出ているわけでもない、言っちゃえばただの素人。そんな状況で、何か綺麗でおしゃれな和菓子を作ろうとしても、当然満足のいくものができるわけがないと思っていました。

であれば、母(今では善哉の開発や全てのクオリティを担保してサポートしてくれています。)が得意とするものを第一優先で考えた結果、「善哉」って昔からよく作っていたよなあって、ふと思い出したんです。

ただ作るのであれば「私たちらしい善哉を届けたい!」と思い、何度も何度も試作を重ねながら、餡子も炊けるようになって。定番のみるくぜんざいから、かぼちゃやさつまいも、ごま、白小豆まで、幅広い餡子を使った善哉たちが完成しました。

さつまいもの善哉「ばたた」と定番「みるくぜんざい」

これが、私たちの始まりです。

なぜ、達磨(だるま)をモチーフにしているのか。

達磨の湯呑み。今は全部で5体います。

これはもともと上にある湯呑みで、善哉を提供する予定だったから。ある日、合羽橋で食器を探していたときに見つけて、「これで善哉出せたら面白いのでは?」と、ビビッときて直感で買ってしまったんです。

そしたら店名も「達磨善哉(だるまぜんざい)」がいいんではないかなと、後から付いてきました。なので、そもそもは善哉のビジュアルから思いついた名前であり、モチーフだったということです。

達磨と、善哉と。どちらも仏教用語でかつ縁起が良くものの象徴であり、言葉の相性も良くて。結果としてすばらしい店名になりました。

ただ結局、今は湯呑みではなく、手に取ってもらいやすいようなプラスチックカップでの提供にはなっています。いつか店舗を持ったときには、食器に達磨の絵でも載せたいです。

達磨善哉は、何を目指しているのか。

これは私たちが語りたいので、語らせてください。過去のものを引っ張ってきますが、うまくかつ簡潔に言語化できた紹介文だったので引用します。つまるところ、これに尽きます。

ほどよい甘さとあたたかさ。食べると、まるで実家にいるような安心感を与えてくれる、ぜんざい。ただ私たちが作るのは、お正月に一年の「節目」として食べる、一度きりのぜんざいではなく、一日の「つなぎ目」として、日々に寄り添うぜんざいです。

ぜんざいを通して、ときに誰かの癒しをつくり、心の余裕を取り戻す時間を提供します。師走の忙しない時期だからこそ、ここで一息つくことが大切です。自家製の餡子とつきたて餅のぜんざいを準備して待っています。ぜひ空いている方は立ち寄ってみてください。 good an-jam night.

池袋の「ひがいけポンド」出店の際に書いた説明文です

ちょうどコロナの時期も重なってか、私の周りでは調子を崩し、仕事に行けない人も増えていました。もちろん、その人たちのために直接何かができるわけではないけれども、私も一時期体調を崩したことがあったので、共感する部分が大きかったのだと思います。自然と、自分には何かできることがあるだろうか、と考えるようになりました。

「もし仕事の帰り道に辛いことや悩みを、ちょっとでも吐き出せる場所があったなら」。そんな想いから、達磨善哉が誰かにとっての“居場所”になることを目指し、お店の構想やコンセプトを考え始めました。

そしてこの想いは、今でも変わっていません。

今後の「達磨善哉」について

2023年は隔週というペースで神田で出店。実は、先日そのスペースが閉店してしまうということで、最後の出店をしてきました。神田で知り合った方々を含めて多くのお客様が来てくださり、本当に嬉しかったです。

現在、いくつかのイベントやポップアップにお誘いいただいておりますが、まだ定期の出店先は決まっておりません。ただ、私たちのコンセプトや条件と合致する場所が見つかれば、定期出店もまた考えたいと思っています。どこかの場所に定着する方が、誰かの居場所にもなりやすいと考えているからです。

またいつかはポップアップではなく、自分たちの拠点を持ちたいという想いもありますが、一旦直近はお誘いいただいているイベントに参加させていただく予定です。とても楽しみです。

最後に

ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございます。少し伝わったでしょうか。きっといつか言葉も、表現の仕方も変わっていくかもしれませんが、私たちの想いや根幹にあるものは変わりません。

また来年もみなさんにお会いできることが楽しみです。それではみなさん、良いお年をお迎えください。Adiós.

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