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愛しているから、会えないよ

人間が忘れやすいことの二大巨頭がある。

ひとつめは、
幸福でも不幸でもない、何もない日がいちばん特別だということ。

ふたつめは、玄関先で見送るときは、あるいは駅前で手を振るときは、大切な人を見送るときは、本当に下らない理由でそれが最後になる時があると、いうこと。

洗濯物をゆっくり畳む母の背中、深夜のファミレスから出た時にあくびをした友人の横顔、電車の窓で流れて消える夕焼けの地元の橋。

二度と取り戻せなくなっている『何気なさ』

どうでもいい話を永遠と毎日笑い合いながらするのが、1番の愛の告白だということを。

昨日見た夢の話、木星には地上はないんだという話、どうでもいい雑学、愛猫が撫でたら喜ぶ場所。あくびをしながら聴いていたその瞬間が、失ったあと、思い出されて思い出されて堪らないことを。

そんな人が眠りについたその寝顔さえ、一生見れないとしたら。その頬を両手で温めることさえ許されなくなったら。

一緒に撮ったどんな美しい写真より、その寝顔をみたいと思うだろうし、もう永遠に他のものに触れられなくなっても、その頬に触れたいと思うだろう。

こんなに日常にうまく隠れて忘れやすいことを、いま思い出したよ。

愛する人が、そばにいる。遠くにいる。
今日も明日もその1日先も、それが続きますように。

愛してる、だからいまは、会えないよ。




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