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読書記録(5)『子どものまま中年化する若者たち』

「最近の若者は……」「俺らの若い頃は……」などとこぼす人を指す「老害」というラベルが広まり、「老害」に対する攻撃的な発言も増えつつあります。
それでも、「上の世代と比べるとやはり何か足りないのではないか?」という思いが以前からモヤモヤと浮かんでいたため購入してみました。

この本のページの多くは戦後の環境の変化とそれに伴う若者の変化の解説に使われています。
この部分では「若者はダメだ」と中高年が思う理由がわかりやすく言語化されており、20代の私としても説教臭さなどはありませんでした。
むしろ、年上の人との関わりが上手くいっていない新社会人の方におすすめしたい内容でした。

その一方で、豊かな世の中でやさしく繊細な感性が育まれている点が好意的に触れられており、新たな価値観が根付き始めている……と筆者は締めていますが、私は違う方向で考えています。

モノや情報にあふれ、危険や理不尽が減り、大きなシステムに囲まれた現代社会は一見快適そうに見えますが、「強い想い」「変わろうとする意欲」が減少することで様々な弊害を生んでいるように思われます。


社会における主流の価値観が変化したとしても、やはり「子どものまま中年化する」のは問題ではないでしょうか。新しい価値観を持って成功している若い方からも、どこか「大人」らしさを感じます。

何らかの目標を達成するために悩み、自分の内面や外面を変える経験を経ることで、「子どものまま中年化する」ことなく豊かな人生を送れると考えています。
趣味やサークル活動はもちろん、ゲームやSNSであっても単なる「消費」にとどまらない目標があれば糧になる経験が積める可能性は大いにあります。

まとめ

若者論・世代論の枠を超えて、様々な学びがありました。
ターゲットは中高年と思われますが、社会人を中心に幅広い世代の方に読んでいただきたい一冊です。

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