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PEDROのラストライブに寄せて

轟音がホール一帯に響き渡る
熱はアリーナ席の中段にまで届いた

最も完成されたはずの空間を今日という1日で終わろうとしている

朝が来るのが待ち遠しい分だけ この夜は明けないでくれと無謀にも願った

恐怖が姿を現す夜も
頼りになる人の温もりが離れて寒気がする夜も
不安に押されて劣勢に立たされて崖っぷちだった夜も
今日だけは全てを抱いて星空を見ていた

暗がりに住み着いて
明るさを堰き止めて
たった一度だけの夜を聴いた

感傷の日々が甦る
馬鹿にされた気になっていた日常も
見つけてあげたいやさしさがこちらを向いていた

楽しみも充実も発見次第で豊かになってくれる


情動が
音になる
声になる
言葉になる

明日の天気を知りたくなる
夢に出てきてほしくなる


鳴り止まないギターに静まりかえる

一音でも逃してたまるかと身構えて
たった数秒を吸収する

噛み締めただけ長く強く記憶される

消えてほしくない思い出は脳裏にやってくる


偶然居合わせた空間も本当だった
嘘でも冗談でもないものを抱えて今日が終わる


何かできることはあるのでしょうか
吸って吐いていられるのでしょうか

できないことばかり浮かびます
眠れない夜もきっと来ます

それでも
不安定でも
いとしさとやさしさを包んで生活を続けます

その日まで またいつか

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12/22

自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。