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江戸川乱歩「赤い部屋」

緊急事態宣言出ましたね。
こんな時だからこそお仕事の方、お疲れさまです。
自宅待機組のみなさま、一緒に楽しく過ごしましょう。

そんなわけで始まりました、青空文庫の紹介マガジン。
本日は江戸川乱歩の「赤い部屋」です。

「赤い部屋」って聞くとあれですね、金田一少年の事件簿の異人館ホテル殺人事件を思い出しますね。
赤髭のサンタクロースね。
え?知らないって?
じゃあ読んでください。

お気づきですか?
隙さえあれば色んな本を勝手に紹介して行こうという魂胆です。

話を戻しましょう。
江戸川乱歩の「赤い部屋」、こちら、言うなれば”懺悔物”です。
できごとがつらつらと書かれるのではなく、そのできごとに遭った人が、つらつらと話すことで展開して行く構成となっております。
この”懺悔物”の代表作と言えば、同じく江戸川乱歩の「人間椅子」ではないでしょうか。

「人間椅子」は、お金持ちの夫を持ちながら、作家として活躍している女性のもとへ、「あんたの椅子の中におりまっせ、ぐへへ(悪意のある意訳)」という手紙が送られて来て、女性がビビる、というお話です。
この作品の面白いところは、「この手紙の内容が、本当かどうかはわからない」というところにあります。
そう、”懺悔物”の面白いところは、その登場人物が話している内容が、本当かどうかはわからない、というところです。
事件の内容にハラハラするのではなく、騙されているのは一体誰なのか、騙しているのは一体誰なのか、というハラハラがあるのです。

「赤い部屋」は、上流階級のおじさんたちが、赤いものを集めた部屋で、なんかヘンテコな話をし合って楽しむ会を行っているようです(うろ覚え)。
そこに新入りがやって来て、世にも奇妙な話をし始めます。
そしてその新入りによって、「赤い部屋」に変化が生じる、と言う話です。
つまり、これは「話をする人」と「話を聞く人」でできている話です。
なので、双方の認識の誤差や、思惑を考えながら読むと、楽しめるのではないでしょうか。

この新入りは一体何の目的でこの部屋にやって来たのかは、全く書いてありません。
そこには、解釈の余地が残されています。
これは、読み手に考える余白を与えてくれているのです。
なので、しっかり想像を巡らせて楽しみましょう。

読書の楽しみは、空想を泳ぐことです。
「この人はどうしてこんなことをしたのだろう」
「この人はどうしてこんな風に思ったのだろう」
そういうことを、黙々と考えることが楽しいのです。

そんなわけで、江戸川乱歩の「赤い部屋」でした。

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