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皆に言ってなかったけど、わたし実習落ちてました。




「よぉ、向坂。お前ホステスやってるやろ?」



上下真っ白のケーシーをまとい、首から学生を主張する青い名札をぶら下げながらメモをとる私の背中が、ヒュンと冷たくなった。


例えるならばそう、若い頃に彼氏の携帯を盗み見して、知らない女と「◯くん大好き♥」とやりとりを見てしまったときのような、あの背筋がヒュンとなるかんじ。


患者役の先生は、患者役に徹するため車椅子に乗り片手で頬杖をついている。
学校一怖いと言われてる先生だ。目つきも尋常じゃなくやばい。
よくこれで理学療法士として現場で働いてたな、と思うレベルでやばい。
あの目は人を殺めている。そして私はいま蛇に睨まれたカエルのように、先生から睨まれている。やばい、やられる。殺られる。








我々理学療法学科の学生は、理学療法士になるべく国家試験を受ける前に

・見学実習
・評価実習
・臨床実習(2回)

の実習に出る。学校によってタイミングや期間などが異なってくるが大体は系列の病院や施設が実習地となり、バイザー・ケースバイザーの先生がついてくれて実習がスタートする。

今はもう違うかもしれないが、我々実習生には毎日の課題が出ることにプラスして、担当(ケース)の患者さんを評価したり、治療させてもらう。
実際の現場に出る前に学ばさせていただく、非常に貴重な機会なのだ。

今まで一致団結して勉強してたクラスメイトがバラバラになり、個々が個々の場所で活躍していく、ひとりひとりの様々なストーリーができる、それが実習。そして、社会の厳しさや臨床の実際を目の当たりにするカルチャーショックも受ける。

まさに私はカルチャーショックだらけで、シンプルに色々まずくて実習落ちました。

※ちなみに実習落ちるって結構やばいです


実習に落ちた原因は諸々あるのですが、
シンプルに私が世の中なめすぎだったのと勉強不足だったのと実習地のバイザー怖くて脳萎縮したwのが大きな原因かなと。思います。

支援者、教育者となった今、あの暗黒の実習を思い出すと多方面からの気づきがあったので、文字に起こしてみます。




実習に落ちた原因その①

バイザー怖すぎワロタ


バイザーまじ怖かった。当時PT歴10年目の、(中途)おじさんだったんだけど、まじ怖かった。振る舞いが医者だった。白衣とか来てたし。サンダル履いてたし。でも患者さんの評価をとにかく細かくする人で、治療の即時効果を出してそれを経時的に再評価していく人だったので、すごい腕がよかった先生だったんだと思う。ただ怖すぎて実習後しばらくPTSD(心理的外傷後ストレス症候群)になった。笑


そのバイザーから学んだことは
治療は評価が一番重要である」ということと
評価は正確性・妥当性・再現性が重要である」ということ

この2点は今の私の臨床や教育で最も伝えていることなので、ここの根幹部分を教えてくださった先生には本当感謝しています。

ただ、反面教師として
「人は威圧的・高圧的な態度を受けると思考停止する」
「外見のことを人に言ってはいけない」
「他人の家族を侮辱するようなことは言ってはいけない」
「相手を落とすような他人との比較を言葉にしてはいけない」

ここは学びました。笑
みなさんの想像通りです。笑



実習に落ちた原因その②

勉強・練習・準備不足だった



当たり前です。勉強してないんだから専門的なことがわからないのです。
当たり前です。勉強してないんだから準備ができていないのです。
当たり前です。準備をしてないんだから、本番うまくいかないのです。
当たり前です。すみません。

実際に患者さんに測定するときに、準備をしてなかった私はワタワタ、モタモタ、挙句の果てに患者さんに「触らないで頂戴!」と言われる始末でした。本当すみません。今、菓子折り持って謝罪しにいきたいです。

勉強は、しっかりしたほうがいいです。というかしてください。
準備は、何を準備したらいいかリストアップしておくとよいです。

・評価方法
・評価の環境設定
・評価の留意点
・実際に説明をしてみる
・実際にシミュレーションしてみる

もう、これをしっかりしてください。これを完全に練習して失敗するのと、練習しないで失敗するのは大きな違いです。
私はこれをしないで痛い目にあったので、今教えてる学生さんにはここを念入りに伝えています。




実習に落ちた原因その③

世の中なめまくってた


もうこのかめきちが10代世の中なめまくってた話は顔から火が出るほど恥ずかしいので一生どこでもしたくないのですが、します(するんかい)

学校の先生は、皆私のことを知っていた。
世の中なめながら生きているのも、男性に媚びを売りながら生きてるのも、それすらも全く意識していないことも、みんな知っていた。

ただキツく言うと立ち上がってこれない甘々ちゃんだってことも知ってくれていたので、先生たちはそのあたりも加味して関わってくださっていた。
今思うと本当に感謝です。すみません。あと当時くそギャルが抜けてない感じで本当外見患ってた。浮いてた。すみません。

過去のnoteを読んでいただけたら私がどんな人間かある程度わかると思うのですが、私はとても生きづらくて、ガツンと下まで落ちたり、自己分析して上がったり、反抗したり、素直になったりを繰り返してた人間だったのだが

ちょうどこの専門学校のときは上がってる時期だったのだ。
なので世の中総ナメ。

そらそうだ。
メール1本で数十万が動かせて、
なんでも言うことを聞いてくれる年上の男たちにチヤホヤされて、
先輩の女性に媚売ってたらのし上がれる、そんな業界にズブズブにいた私は、完全調子に乗っていた。

人は自分の感情一つでコントロールできる」と壮大な勘違いをしていた時期だった。バチクソに恥ずかしい。


もうね、人をコントロールしようとしてはいけないんですよ。
自分が中心の世の中だと思ってはいけないんですよ。
世の中、相手を舐めてはいけないんです。


今私は、本当に目の前のこどもに
「教えてもらってありがとう」と言っている。
これはただの感謝の言葉ではなく、本気で心の底から思っていて、
そして本当に目の前のこどもを尊敬している。
自分には到底できない輝きを放つこどもを、敬っている。

もう世の中は一切舐めていない。ごめんたまにペロくらいはするかもしれない。けど、こんなにも恐怖と戦いながら生きるとは思わなかった。
そのため、今は真摯に、ひたむきに、自分のできることを自分のできる範囲で行っていきます。


おわりに


実習落ちたけどなんとかPTにストレートでなれました。
多分今の時代相当やばくないと実習には落ちないと思います。
ただ、落ちないから大丈夫〜じゃなくて、私達は患者さんの大事な人生の時間を頂いていると思って、常に真摯な態度で臨んでいくのが大事だと思っています。

あぁ〜また恥ずかしいnote書いちゃった。ま、いっか。


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