『ゲーム・オブ・スローンズ』の強い女性たち

■ Watching:『ゲーム・オブ・スローンズ』

『ゲーム・オブ・スローンズ』を、約1ヶ月かけて完走した。ジョージ・R・R・マーティンのファンタジー小説シリーズ『氷と炎の歌』を原作とし、2011年から2019年まで放送されたHBOのテレビドラマシリーズだ。100人を超える登場人物が鉄の玉座を争ったり死者と戦ったりする、とにかく長大で壮大な物語である。

様々な「強い女性」

登場人物としてもちろん女性も数多く登場しているが、強い女性も多かった。一口に「強い女性」といってもその強さには様々な種類があり、そしてそれぞれの異なる強さが彼女らの個性になっていたと思う。今回は、彼女らの強さについて改めて振り返ってみたい。

思いついた登場人物15人を対象に、下記6つの項目について独断と偏見に基づいて1~5点の点数をつけた。
・戦闘の強さ
・精神の強さ
・運の強さ
・意思の強さ
・権力の強さ
・世渡りの上手さ

以下、ネタバレあります。

- アリア・スターク(メイジー・ウィリアムズ)

アリア

どの方面にもまんべんなく強い。好き。気の強さは少女時代から伝わってきていたけど、色々な経験を経て戦闘力も上がり精神的にも強くなった。しかも運も強い。めっちゃ生き残る。レディとして生きる気持ちの無さから容赦のない発言も多いので、世渡りに関しては上手くないという評価にした。

- サンサ・スターク(ソフィー・ターナー)

サンサ

物語を通して一番強くなった人ではないですか?好き…「王都に行きたい早く北部を出たい」と言ってた頃から意思の強さの片鱗を見せていたけれど、大人になったサンサの強さはその比ではない。男運は無い、と思ったけど男運ってなんですか?立ち位置で巻き込まれてるだけ…救いの手が差し伸べられることも多いので運が悪いわけではないのかも。

- キャトリン・タリー(ミシェル・フェアリー)

キャトリン

母は強しキャラ。特に子供や家族が絡むときの意思の強さ。キャトリンを見ていると、この親あってこの子(サンサやアリア)あり(意思の強さ的に)と思う。

- デナーリス・ターガリエン(エミリア・クラーク)

デナーリス

意思の強さが突き抜けてる。神通力で岩とか砕くタイプ。相談役の意見をよく聞き良き為政者になるのか?と思ったけれど、思い返してみればまあ初期からずっと頑固ではあったよな…ドラゴンを含めば戦闘力はK点越えだけどチートなので本人の力で判定しました。

- サーセイ・ラニスター(レナ・ヘディ)

サーセイ

母は強しキャラ(2度目)(の行き過ぎた例)。ジェイミーがいなかったら、子供がいなかったら、どんな人になっていたんだろうか。サーセイが世渡り上手だった時代って有りましたっけね?後半の暴走機関車的だったときのことしか記憶にない。

- ブライエニー・タース(グェンドリン・クリスティー)

ブライエニー

まず何をおいても戦闘力の高さ、そして忠誠心の強さ。騎士中の騎士でありながら、純粋で繊細な女性でもある。不器用なところがとても愛らしい。好きです。

- ミッサンデイ(ナタリー・エマニュエル)

ミッサンデイ

色々と極端な人が多い中では割と平均的なキャラなのではないでしょうか。彼女にとってはデナーリスの存在が大きすぎるのだろうな、と思うところはある。ジェイミーがいないサーセイ同様、デナーリスがいないミッサンデイを見てみたい。

- ジリ(ハンナ・マリー)

ジリ

とにかく運が強い。精神力も強い。一般人的な感覚でいえば信じられないことに巻き込まれまくってるけど、なんだかんだいつも冷静に柔軟に対応していた印象。出自的に信じられない感じから始まってるからかな…実は意思が強いというか言わねばならないことはしっかり主張できる女性で本当に大好き。

- ヤーラ・グレイジョイ(ジェンマ・ウィーラン)

ヤーラ

弟の救出に乗り出すところや拷問にびくともしないところに心底惚れた。"鉄"すぎる。恋人になってほしい。無理なら母でお願いしたい。

- イグリット(ローズ・レスリー)

イグリット

「女だからと言って甘えない」の桁が外れてる反面女を武器にしてもくる。強か。好き!ジョン・スノウ見る目あるな!ジョンのことを手玉に取っていた感もあったけれど、結局のところイグリットも愛してたのだよな…と思うと切なくて無理。

- マージェリー・タイレル(ナタリー・ドーマー)

マージェリー

出自からは想像つかんぐらい意思の強さがエグい。ばあちゃんに薔薇が描かれたメモを握らせたところとか本当にゾクゾクしたよ。マージェリーの統治が見てみたかった…

- エラリア・サンド(インディラ・ヴァルマ)

エラリア

気の強さという項目を作ってたら間違いなくマックス(作るべきだった気がする。精神の強さや意思の強さともまたちょっと違うよね。)正直娘含めて勿体ない位置だった。というか、ドーン全体的にもうちょっと出て。

- メリサンドル(カリス・ファン・ハウテン)

メリサンドル

彼女の信仰心を表すために運の強さと意思の強さをマックスにしたのだけど、それは果たして運や意思なのか?行動原理が信仰によるものである部分が大きかったので、あまり個人としての彼女の評価ができない。

- シェイ(シベル・ケキリ)

シェイ

好き(号泣)。信じてたのに…と思わなくはないけれど、それが彼女の強さなので…そういうところが好きだから嫌いになれない…なあそうだろ…(号泣)。表に出すことは少ないけれど、精神がすごく強いと思う。振り返れば運の無い人生ではなかったが結末的に運は無い。

- ロス(エスメ・ビアンコ)

ロス

何故GoTには番外編『ロスの王都の裏側スクープ!』が無いんですか?もっと出てほしかったキャラクターランキングNo.1。ロス視点で王都のゴタゴタを見てみたいのでよろしくお願いします。

『ゲーム・オブ・スローンズ』における女性の描かれ方

正直なところシリーズの初期の方では女性の描かれ方が極端に酷いことも多々あり、ウッと思うことも少なくなかった。現代社会の話ではないので仕方ない…と思わなければ耐えがたいところもあった。

シリーズ後半になっていくと、そのように感じる場面が徐々に少なくなっていった印象がある。それが「減らそう」という意思のもとで選択された方針であったのか、物語の進み的に入れる必要がなくなったからなのかというところは分からないものの、2017年にアメリカで始まったMeToo運動の高まりも何らかの影響を与えたのかもしれない。

またこれは日本語字幕についてだが、シリーズの後半では女性キャラクターの話し言葉から女性文末詞が減っているのではないかとも感じた。というよりは、一部の女性の話し方の印象が変わった(「前からこんなしゃべり方だったっけ?」)という方が近いが。

上記2点については、もう少し調べてみたいと思う。

追記

『アフター6ジャンクション』の特集で『ゲーム・オブ・スローンズ』のプロデューサーへのインタビューの様子が放送されていた。

その中では、「女性の描かれ方はMeToo運動等を受けて考えられたものか」という問いもプロデューサー陣にぶつけられている。

その回答は要約すると、「女性たちがハードルを乗り越えて自分の道を築いていく姿は原作に存在しており、心惹かれた部分である。つまり、そのような要素はMeTooのいろんな動きが出てくる前から描かれていたものである。」というものであった。

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