“空白”を上手に語れる女になる。

わたしは、大抵の場合、言いすぎている。
言わなくていいことを言いすぎている。

それって、セクシーじゃないんだろうなぁと薄々勘付きつつも
せっかく人間として産まれついたのに
自分の感情を口にして、言葉というものでそれを相手に伝えようとして、何がわるいのか
という思考に囚われてしまっていた。
言わないでいることの方がよほどわるいと、勝手に思い込んでいた。

最近、シンプルだけどディテールに凝った服を着るのが好きだ。
ちょっと肩のあたりが膨らんでるとか、ボタンが金色でかわいいとか、色は普通だけど変わった柄、とか。
言葉もそんな感じで、「いい感じ」にチューニングすればいいのかな、と
洗濯をしながらふと思った。

「行間を読む」という言葉があるけれど、
それならば「空白を話す」という表現があってもいいのではないかと。

これは決して「言わない」のではなく、本来であればある言葉を口に出していたその時間を、「空白」に置き換える行為。

舞台上で主役と脇役の役割の違いがあるように、「空白」が他の言葉を引き立てて、全体を印象深く着地させる。
それって、何かとってもセクシーな気がしている。

なるほど、わたしがこれまで紡いできた言葉は、いわば全員が主役の座を醜く争っている劇団みたいなものだったのかもしれない。
言葉を紡ぐというのは誰もができることだけれど、「空白」をうまく駆使できるようになるのは、案外時間がかかるものなのかもしれない。

「空白」を上手に語れるような女に、わたしはぜひなろうと思う。

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