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【第179回】【モデル地区紹介④】三重県紀宝町鮒田地区


質問  三重県紀宝町鮒田地区の地区防災計画づくりについて教えてください。

概要

①20~23年度のモデル地区
②地域特性
③取組状況

解説

①20~23年度のモデル地区

 三重県紀宝町鮒田地区は、地区防災計画学会の20~23年度のモデル地区になります。
 担当教員は、田中耕司大阪工業大学特定研究員及び竹之内健介香川大学講師です。
 特徴的なのは、マイライムラインを活用したり、生活防災の取組を推進している点です。

②地域特性

 鮒田地区の人口は約330人、世帯数は約130で、高齢化率は50%以上になります。
 当該地区は、2011年の紀伊半島大水害で、甚大な浸水被害を受けました。
 その後、国土交通省及び三重県による激特事業により,輪中堤・堤防が整備されました。しかし、内水氾濫の発生があったことから、2021年4月に高台に地区の集会所及び避難所を建設しています。

③取組状況

 当該地区では、地区防災計画に基づく日常生活での活動と地区のイベントを組み合わせた活動を実施しています。その中で、住民が発災時に直ちに行動をとれるように、判断の訓練を実施しているのです。
 また、担当地区のリーダは、防災活動に熱心で、行政との交渉もうまく、行政も地区の活動に対して支援を行っています。
 盆踊り、夏祭り、氏神(牛鼻神社)の維持管理を継続的に実施しており、それが防災活動にもつながっています。
 2019年から住民の習慣や趣味を組み込んだ生活防災の概念を取り入れた簡易なタイムラインを作成しています。
 さらに、ドローンや日常的に使用しているラインのグループ機能を活用したり、野外活動、散歩、料理教室(炊き出し訓練に切り替え)、備蓄農園、河川清掃(集めた流木を炊き出しに利用)等の取組を実施する中で、防災活動も進めており、また、各世帯に衣装ケースを配布し、避難所での生活をイメージして必要な物品を詰めてもらい、それを自治会が回収し、避難所に保管したりもしています。そして、地区防災計画の改定と避難所運営計画作成等を推進し、同時にコミュニティの人間関係の醸成も図っています。

文献
・西澤雅道・金思穎,2024,「地区防災計画制度施行10年を迎えて―23年度モデル地区の状況―」『地区防災計画学会シンポジウム(第10回大会)基礎資料』.
・田中耕司・竹之内健介・馬場美智子・高橋香帆・向井凌平,2024,「生活防災の概念からスタートした地区防災活動の進展に関する考察―紀宝町鮒田地区の地区防災の振り返り―」『地区防災計画学会誌』(29).
・伊香優志・田中耕司・竹之内健介・西澤諒亮・吉田達也,2019,「地区の事前防災計画を軸とした生活防災タイムラインに関する研究」『地区防災計画学会誌』(16).

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